2020東京チームの師、プレゼン必勝法を語る 東京五輪プレゼン/マーティン・ニューマン氏インタビュー

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――プレゼンのコツは?

まず第一に、ボディをリラックスさせること。足を肩幅ほどまでに広げて、仁王のように立つことで、身体が安定する。

それから重要なのは息の使い方。深い息が重要。体や声は酸素を要求する。喉を開けるためにも、「息」が重要。仏僧がお経を唱えるように、のどでハミングをすることで、リラックスができる。

「ムード」を作るために、感情を入れようとして、「叫びだす」「大声で」というのはプレゼンの初歩的なミスだ。最もインパクトを持たせるには、ソフトにするのがいちばんインパクト・効果を発揮する。声を大きくすると、「聞いてないのか!」というように聞こえるし、怒っていたり、自信がないようにも聞こえる。

たとえば、叫びっぱなし、などトーンが一定だと、聴衆の心のスイッチはオフになる。 プレゼンの最大の敵は「変化がないこと」だ。人間の進化は、変化しないことに対して、反応しなくてもいいということを教えた。スイッチを切っていい、危険もない、と教えている。周りが動かない、変化がない状態になれば、スリープモードになる。変化があると、覚醒する。獲物が突如、現れるとか、たとえば、600匹の犬があい、1匹のピンクの犬がいれば、そこに注目する。声の出し方やジェスチャーにしても、どのようにチェンジ(変化)を作り出すか。「沈黙」「静かなトーンのところに突然、声を上げる」といった「変化」に人々は反応する。

日本人は立ち上がるべきだ

――プレゼンの上達法は?

コミュニケーションはスポーツだ。スポーツにおいて、コーチに指導を受けるというのは当たり前だろう。コーチを前にすると、パフォーマンスを向上させるために素直になる。アスリートがコーチに指導を受けるように、プレゼンテーションもコーチングによって劇的に改善する。みんなそれぞれに自信があり、自己流でやっているが、一度コーチングを始めれば、みんな、「もっとやってみたい」と言い出すのだ。

日本のエグゼクティブの場合、部下は問題を認識していても、ボスにそれを言いに行くということは難しいだろう。トップはプロテクターに囲まれている。ボスは完璧です、というのが仕事になっている。ここで、実はコーチングが必要とはいいづらい。しかし、グローバル時代、日本のリーダーたちが、プレゼンのコーチングを当たり前に受ける時代がやってきている。

「沈黙は金なり」というのは、日本でユニークなことではない。出る釘は打たれるなどのフレーズもあるが、招致の成功でわかったように、もっと日本人は立ち上がるべきだ。東京五輪は日本人が出る釘になって、もっとスタンドアップしていく、いい機会になると考えている。

岡本 純子 コミュニケーション戦略研究家・コミュ力伝道師

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おかもと じゅんこ / Junko Okamoto

「伝説の家庭教師」と呼ばれるエグゼクティブ・スピーチコーチ&コミュニケーション・ストラテジスト。株式会社グローコム代表取締役社長。早稲田大学政経学部卒業。英ケンブリッジ大学国際関係学修士。米MIT比較メディア学元客員研究員。日本を代表する大企業や外資系のリーダー、官僚・政治家など、「トップエリートを対象としたプレゼン・スピーチ等のプライベートコーチング」に携わる。その「劇的な話し方の改善ぶり」と実績から「伝説の家庭教師」と呼ばれる。2022年、次世代リーダーのコミュ力養成を目的とした「世界最高の話し方の学校」を開校。その飛躍的な効果が話題を呼び、早くも「行列のできる学校」となっている。

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