孤独死した40代女性「社会的孤立」が招いた悲劇 人との縁が薄れた孤独者をどう救えばいいか

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この女性のようなヒートショック死は、実は孤独死の類型として、決して珍しいものではない。冬場は、寒暖差による突然死が多く発生するからだ。

死因は、急性心筋梗塞――。しかし、それ以前の偏った食生活や、不衛生な部屋の状態が女性の寿命を縮めてしまったのだろう。

しかし、孤独死現場に日々取材で向き合う私自身も含めて、仕事に没頭するあまり、このような状態へと落ち込んでしまうことは、ありえることなのだ。

マンションの配管を伝って体液が流れ出す

とくに現役世代はワーカホリックで、仕事に追われるあまり、セルフネグレクト(自己放任)に陥り、食生活がなおざりになり、孤独死するケースも多い。部屋も仕事上のモノで溢れ、衛生状態が悪いというケースが後を絶たない。塩田氏はその現状をつぶさに見てきた。

「在宅だけで完結するノマドワーカーやIT関係の方など、人と密に関わらなくても済んでしまう仕事をしている人も、実は孤独死を招きやすいのです。とくに今は、パソコンやスマホで仕事が完結してしまう。亡くなった女性は、かなりの仕事人間で、日常生活は仕事に追われていた。しかし、喜怒哀楽を共にする友人や親族はほとんどなく、社会的に孤立していたのではないでしょうか」

遺族である母親は、すでに80代で認知症でを患っており、女性も仕事以外の人間関係がまったくなかったため、女性の遺品のほとんどはゴミとして処理された。

このように、孤独死と切っても切れないごみ屋敷やモノ屋敷の住民に対して、ちょっと変わったアプローチを行っている民間団体がある。

それが、地域の困りごとに対応する100円家事代行サービスを行っている、「御用聞き」(東京都板橋区)だ。「御用聞き」は、2017年からいわゆるごみ屋敷の清掃に乗り出している。

近年、ごみ屋敷はたびたび話題になっているが、行政もその対応に苦慮をしているところが多い。

「御用聞き」は、粘り強く当事者に寄り添い、その人の生きがいを一緒に見つけていくという姿勢を持っている。代表の古市盛久さんは当事者の心境について、「ご本人は、『あぁ、これはダメ』『それは捨てないで』という感情の狭間にいて、何とかしたいと思っていることが多いんです」と話す。

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