「5G導入」で注目集まるアメリカ企業の覇権争い 負けられない戦いに挑む米国の通信IT企業

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5Gのサービスを利用するためには、対応する機器が必要になる。まずは5G対応のスマホが最大のハードウェアとなるだろうが、その心臓部の半導体で優位に立っているのがクアルコム(QCOM)だ。携帯端末用のCDMA(符号分割多重接続)方式の開発で成長し、スマホ向けの画像処理技術でも世界トップの地位にある。

アップルとの2年以上にわたる知財紛争が続いてきたが、今年4月、アップルがすべての訴訟を取り下げ全面和解が成立。併せて特許のライセンスやクアルコムからアップルへの半導体供給などが新たに合意されたと伝えられた。クアルコム側から見れば全面勝利であり、その後株価は急騰した。

すでに韓国サムスンなどが5Gスマホを発表しているが、そのほとんどがクアルコムのチップを採用している。さらに、5月には同社の5G対応チップとモデムを搭載した台湾レノボ製の世界初の5Gパソコンを発表するなど勢いは加速している。

対するインテル(INTC)は、アップルがクアルコムとの係争終了を発表したその日、スマホ用の5G対応半導体の開発から撤退すると発表。今後はPC向けやネットワークインフラ向けなど強みを持つ分野に集中することになる。

半導体では回路の変更が可能なプログラマブル・ロジック・デバイス分野のトップ企業、ザイリンクス(XLNX)も注目だ。日本を含むアジア地域での拡大が続く同社は、2月に韓国サムスン電子と5G NRの商用展開に向けた提携を発表、韓国を皮切りに世界各国で展開すると発表した。

データ通信の制御で注目が集まる企業

5Gの「超高速・大容量」のデータ通信を制御するには、それに対応したネットワーク接続のための技術や製品が欠かせない。こうした通信機器のトップ企業がシスコシステムズ(CSCO)だ。ネット接続用のルーターやスイッチでは圧倒的なシェアをもち、サーバーやデータセンターなど関連製品も手がけている。直近はM&Aを駆使し、セキュリティーやソフトウェアなど関連する成長市場も積極的に取り込んでいる。

ユビキティ・ネットワークス(UBNT)も、ルーターやアンテナ、スイッチなど事業者向けから家庭用までネットワーク機器の製造・販売を手がけている。2018年6月期の売上高は10億ドル程度と規模は小さいが着実に成長、5G関連として注目され株価も大きく上昇した。

もう1社、ネットワーク関連ではシエナ(CIEN)も注目株の1つだ。基地局とデータセンター、あるいはデータセンター間など光ネットワーク接続のための伝送装置やソフトウェアに強い。ただ、ユビキティ・ネットワークスとシエナの両社は『米国会社四季報』(2019年春夏版)では掲載対象にはなっていない。

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