日本企業が今するべき「生産性向上」3ポイント 「やらない仕事」を決めることが超重要なワケ
ROIとは、Return On Investmentの略で、投資対効果といいます。直訳すると成果 (Return)が 投資(Investment)の上(On)にあるということです。つまり分数を表しています。R/I=ROIということです。
例えば、10000円投資 (Investment)したらいくらの成果 (Return)があるのか? これがROIです。20000円のReturn(成果)があれば、ROIは2/1=2ということです。
生産性の指標でもある
ROIは生産性の指標でもあります。「1時間投資したらいくらの成果があるのか?」という事を導き出せます。
例えば1時間の会議をしたときに、参加者の時給を合計したり、その会議時間に営業活動ができた場合の期待売上などから投資が計算できます。そして、成果は、その1時間の会議の内容から計算できます。重要な決定ができれば、その会議の成果は大きかったといえるでしょう。それを金額換算して、ROIの値が大きければ大きいほど投資対効果、つまり生産性が高いということです。
逆に小さければ小さいほど、生産性が低いということになります。投資が10000円で成果が10000円未満、例えば成果が9000円とするとROI=0.9になります。10000円投資すると9000円しか返ってこないので1000円損をします。投資したお金が減るので、投資したくないですよね。このような会議などはしないほうがいいのがわかります。
「すべての従業員がROIを意識する」とは、自分の1時間の労働時間は、ROIが1以上であったのかをつねにチェックして仕事をするということです。ROIは分数なので、R(成果)を大きくすることとI(投資)を小さくすることのうちの1つ、あるいは、それらの両方を行うことで、ROIの値、つまり生産性が向上します。具体的には、同じ1時間を使うのであれば、より成果を出せないか。同じ仕事をするのであれば、より短い時間でできないかを従業員1人ひとりが意識して、実行するということです。
ROIの成果に着目します。仕事の成果は、必要なスキルのうち、最も低いスキルに影響されます。
例えば、提案営業職には、「ヒアリング力」「プレゼンテーション力」「クロージング力」という3つのスキルが必要だとします。それぞれ10点満点中5点レベルのスキルレベルが必要だとします。ある営業メンバーのスキルレベルが、ヒアリング力3点、プレゼンテーション力5点、クロージング力8点だとします。
営業結果はどうなるでしょうか。プレゼンテーション力は5点なので問題ありません。クロージングは8点なのでかなりのレベルです。しかし、ヒアリング力3点に足を引っ張られて、結果的に3点レベルの売上しか出せないのです。
これはビジネス書のベストセラー『ザ・ゴール』で有名な、エリヤフ・ゴールドラット教授が提唱している「制約条件理論」によります。制約条件理論では、プロセスの最も弱い部分(制約条件)を強化することで、成果を高めることができます。
上記の例でいえば、「ヒアリング力」のスキルが5点まで強化できれば、売上を効率的に上げることができるのです。制約条件理論に従って、強化すべきスキルに絞り、そのスキルを向上させることができれば、成果が大きくなり、ROIつまり生産性が高まるのです。
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