日本企業が今するべき「生産性向上」3ポイント 「やらない仕事」を決めることが超重要なワケ
話を元に戻しましょう。仕事の生産性を向上させるためには、やらないことを決める。そして「やらないと決めたことは、たとえ時間があっても絶対にやらないこと」なのです。ここまで話をすると、少し反応が分かれます。「絶対にやらないのは難しい」というのです。
不思議なことですが、自分だけ暇にしていたり、早く帰ったりすると、周囲に対してバツが悪いと感じるようです。そして、時間があると、優先順位が低くて、「やらない」と決めた仕事もついやってしまうのです。そうすると前述したように、生産性は上がらないのです。繰り返しになりますが、重要なのは「やらないと決めたことは、時間があってもやらない」ことです。
人、モノ、金、時間は限られている
ところが、一部の人の反応に「そもそも優先順位の低い仕事などない」というものがあります。ある側面では正しい意見かもしれません。そもそも大抵の仕事というものは「やったほうがよいかやらないほうがよいか」と聞かれれば、大半の仕事は「やったほうがよい」ものが多いでしょう。
しかし、この反応をする人は、重要な観点を忘れています。あなたの時間も、そして会社の資金もすべて有限なのです。限られている人、モノ、金、時間を重要な仕事にだけに集中して取り組む。これが時間の有効な使い方の最大のポイントなのです。
もしもあなたが部下を持つ立場であれば、これを応用して考えてみてください。つまり、担当組織の生産性を向上させる最も重要なポイントは「部下の仕事の中でやらないことを決める」ことなのです。そして、空いた時間の一部で、次の重要な仕事をしてもらえばよいのです。それができれば、あなたの組織の生産性は飛躍的に向上します。
これをROI的に説明すると分子のR(成果)を大きくし、分母のI(投資)を少し小さくする効果があり、ROIが大きくなるのです。ある一部上場企業は、これを「掃除」と表現しています。年に数回「掃除」「中掃除」「大掃除」と名づけて、「やらないことを決めるミーティング」をしています。
聖域を設けずに、今までやってきたことであっても、本当にやり続けるのかをチェックしています。この「掃除」をやりだして数年経つと、言い出しっぺの創業社長が「それも本当にやめるの?」と驚くほど大胆に業務の見直しを行うようになるそうです。あなた自身でも、組織でも、この「掃除」を定期的にやってみることをお勧めします。
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