「築地場外」が直面するブランド存続の危機感 豊洲移転から7カ月、市場はどう存続するのか

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鳥藤では、地元客の来店を想定して惣菜のレシピや食材、価格までもほぼすべてを一新した。採算を下げてでも、より日常的に食べたいと思える味に――。そんな想いを根底に持つ同社では、築地の従来の常識から外れる改革も視野に入れているという。

「築地は朝から昼過ぎまでの街。そんな概念を少しずつでも変えるために、営業時間を主婦の方の買い物時間に重なる夕方以降まで延ばすことも試していく予定です。ウチのように従業員が比較的多いところが動いていかないと、という使命感もあります。

豊洲も築地も近隣にたくさんの住民の方がいる。あくまで私の考えですが、その方たちがより日常使いで利用したいと思っていただけるために、できることがたくさんあると思うんです」

仮に都が掲げた食のテーマパーク構想が進んでいたとしても、パイが広がるというよりはお店同士の競合となる可能性も高く、場外の商店街や商店が恩恵を得るとは考えにくい。都に頼るのではなく、自分たちで仕組みづくりから仕掛けていく必要がある。場外の商店街では、移転前から話し合いの場が増え、盛んな企画やビジネスプランが持ち上がっては消えていったという。

築地ブランドを守るために必要なことは何か

築地場外市場商店街振興組合にも籍を置く鈴木氏は、組合として今後の展望についても明かしてくれた。「今年の夏頃には、夕方に市場を開くという『夕方市』の実験的な導入や、企業人の“朝活”を築地で、というこれまでにない動きを仕掛けていきたい」という。

より大きな流れにするために、数店舗ではなく街全体を巻き込んでいくというハードルは残るが、それでも少しずつ変化の兆候が現れ始めている。

“変わらないために変わり続ける”

現在の築地では、各所に張り出されたこんなキャッチコピーが添えられたポスターが視界に飛び込んでくる。築地ブランドを守るために必要なことは何なのか。試行錯誤を重ねながら、築地で生きる人々の奮励は続いていく。

栗田 シメイ ノンフィクションライター

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くりた しめい / Shimei Kurita

1987年生まれ。広告代理店勤務などを経てフリーランスに。スポーツや経済、事件、海外情勢などを幅広く取材する。『Number』『Sportiva』といった総合スポーツ誌、野球、サッカーなど専門誌のほか、各週刊誌、ビジネス誌を中心に寄稿。著書に『コロナ禍の生き抜く タクシー業界サバイバル』。『甲子園を目指せ! 進学校野球部の飽くなき挑戦』など、構成本も多数。南米・欧州・アジア・中東など世界30カ国以上で取材を重ねている。連絡はkurioka0829@gmail.comまで。

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