オバマは100日で不良債権買い取り銀行を成立させられるか--景気や株価・ドルへの影響は…!?
この日本の「整理回収機構(RCC)」は、米国の「整理信託公社(RTC)」を範としていることから「日本版RTC」と言われているが、米国の「RTC」とは違って、時間制限もなく、この点においても債権処理が進まなかった。
なお、米国で2008年10月3日に成立した米金融安定化法の「問題資産救済プログラム(Troubled Asset Relief Program/TARP)」がこの日本の「整理回収機構(RCC)」に似ている。7000億米ドル規模の公的資金を使い、株式購入、貸付、住宅ローン担保証券/MBSの買い取り、以上の保証などを現在している。ただ、これは不良債権処理に踏み込んでおらず、株式購入も、優先株やワラント取得にとどまっている
(http://www.treasury.gov/initiatives/eesa/)。
米国の「整理信託公社(RTC)」は「Resolution Trust Corporation/RTC」のことで、その後、1995年に米連邦預金保険公社/FDICへ移行する。その米国の「整理信託公社(RTC)」の復活、つまり現代版が昨年2008年に検討された。2008年9月18日、米財務省のポールソン米財務長官が金融問題の解決に向け、「整理信託公社(RTC)」の様な不良債権処理機関を設立する計画を複数の議員に示していたのだ。その当時、議会関係筋は「(1980年代の)貯蓄貸付組合(S&L)危機の後に利用された『整理信託公社(RTC)』の現代版だ。」と語っていた。 現代版「整理信託公社(RTC)」は、「M-LEC(公的資金を利用しない)」の頓挫を受け(前述)、公的資金を利用する不良債権処理機関である。
本来の「整理信託公社(RTC)」は、1989年~1995年に4,600億米ドル(約40兆円)の不良債権を買い取り、その8割を超える額の回収に成功したとされる。ただ、その買い取り・回収の過程で約1,200億米ドル(約10兆円)もの公的資金が投入されて、その大半が国民負担となった。さらに、「整理信託公社(RTC)」は公的資金を資本注入の形で投入できない。また、その当時、「整理信託公社(RTC)」で貢献した証券化商品が今や「お荷物」となっている。この証券化商品こそが現在のサブプライム問題の源であり、その証券化商品の市場に多大な影響力を持っていたのがリーマン・ブラザーズ・ホールディングス(2008年9月15日に破綻)だった。
その意味で「整理信託公社(RTC)」の1989年~1995年における成功を今、期待するのは疑問だ。ただし、市場も、当初より「整理信託公社(RTC)」よりも「復興金融公社(RFC)」を期待していた。1930年代の大恐慌時代に設立された米国の「復興金融公社(Reconstruction Finance Corporation/RFC)」は1932年2月設立で、1933年3月9日にニューディール諸立法可決(ニューディール政策)と共に(RFCによる)優先株買い入れ法案/緊急銀行法/緊急銀行救済法が成立して実効力を持ったのである。その後、RFCは実際に公的資金を使い、優先株買い入れ(資本注入)をして銀行を救済した。なお、当時のNYダウは1932年7月8日において41.22と、過去最高値から-89.2%安まで暴落したものの、そこで底打ちすることとなった。