「世界の亀山」を追われた外国人3000人のその後 「月給70万円」では到底なかった現実
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外国人労働者の受け入れを広げる改正入国管理法が施行されて、間もなく2カ月が経つ。
医師や弁護士といった高度な専門分野の人材に限るとしてきた従来の政策から大転換、いわゆる単純労働者の受け入れを可能にするため「特定技能」という在留資格を新設したのだ。「事実上の移民解禁」と指摘する人も多い。
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新たな在留資格は「特定技能1号」「特定技能2号」の2種類。対象となる介護や農業、外食など14分野について、技能と日本語の試験に受かるなどすれば通算5年は在留可能なビザを取得できる。さらに高度な技能を問う試験に合格すれば、在留期間を更新でき、配偶者や子どもを呼び寄せることも可能になった(当面は建設、造船・船用工業の2分野のみ対象)。
今回の法改正について、昨年11月の国会審議で安倍首相は「深刻な人手不足に対応するため、即戦力になる外国人材を期限付きで受け入れるものだ」と強調、あくまで人手不足に対する処方箋であって「いわゆる移民政策をとることは考えていない」と繰り返し述べていた。
首相の発言と経済界の要望を照らし合わせると“安く働いてくれる分にはいいけれど、いつかは帰ってもらわないと困る”――、そんな本音が透けて見えてくるようだ。
しかし現実には、日本はとっくに「移民大国」になっている。経済開発協力機構(OECD)の最新統計によると、外国人の年間移住者数で、日本は韓国を抜いて世界4位に躍り出た。2015年だけでも39万1000人が海外から移住している。
たとえ大都市でなくても、コンビニやファミレス、居酒屋さんの店員に外国人を見かけることが最近は多くなった。店員がすべて日本人というほうが、もはやまれだ。総務省の統計によると、北海道占冠村の22.7%を筆頭に、外国人比率が人口の10%を超える自治体は10にのぼる。
2018年現在、日本で働く外国人は約146万人。10年前の3倍に膨らんだ。事業所の割合で最も多いのは製造業で22.2%。次いで、卸売業・小売業17.1%、宿泊・サービス業14.3%、建設業8.6%が続く。すでに幅広い分野で外国人労働者は日本社会を支えているのだ。