川崎殺傷事件を連鎖させないために大切なこと 第三者の私たちはどう受け止めたらいいか

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今回の事件の犯人に関しては情状酌量の余地がなく、「どんな批判を浴びせても足りない」という感があるのは間違いありません。しかし、そこで思考回路を閉じてしまうようでは、今回のような犯罪が増えることはあっても減ることはないでしょう。

SNSの発達で一人ひとりが主体的な意見を持つようになった現在では、「犯人を批判する」という感情に基づいたファーストステップに続く、理性的なセカンドステップが求められているのです。

子どもたちが狙われる本当の理由

「今回のような犯罪が増えることはあっても減ることはない」と書いたのは、「社会から孤立している」「生きづらいという感覚を抱えている」「強烈な不満や理不尽さを感じている」という人が増えているから。

私はコンサルタントとして、これまで2万人以上の悩みを聞いてきましたが、その孤立、生きづらさ、不満・理不尽を強く訴える人の数は明らかに増えています。ネットの普及で生活が便利になる反面、画面上のコミュニケーションが中心で人間関係が希薄になり、「本当の友人がいない」「恋人もいない」「結婚もしない」「家族と折り合いが悪い」などと人々の孤立化は進む一方。さらに、「お金もあまりない」「定職がない」「やりたい仕事がない」「行きたい外出先がない」などの失うものがない人も増えているのです。

人間である以上、いくらかの孤独や不満はつきものですが、「失いたくないもの」や「幸せを実感できる人」の存在がそれらを軽減しています。犯罪者の背景をひも解くと、「一定以上の抑止力になるような『失いたくないもの』や『幸せを実感できる人』がいなかった」というケースも多く、だから自暴自棄になりやすく、心が病んでいく人が少なくないのでしょう。

今回の事件では、「自分より弱い子どもを標的にしたことが許せない」という声を多数見かけました。ただ、子どもが犯罪者から狙われやすいのは「弱いから」だけではないでしょう。「失いたくないもの」や「幸せを実感できる人」がいない人にとって、子どもは未来や幸せの象徴だから攻撃の対象になりやすいのです。

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