「令和の大学生」の懐事情が明らかに苦しい理由 大学の授業料は上がり仕送り額は落ちている
さらに学生の収入面を見てみましょう。喫茶店の店員などの学生向けのバイトは今も昔も最低賃金に近い時給になっており、ここでは東京都の最低賃金の推移を見てみます。こちらも現代の価値に換算した数値でデータが残る1973年代から1980年代まではほぼ時給500円で推移。
[図表7 最低賃金]
バブルが崩壊した1990年代に600円まで上昇。その後、2000年代後半から再び上昇し、現在では1000円近くまで上がっています。時給面は昔よりも倍近く上がっていて、学生には心強い結果となっています。
最後に、1973年を100としたときの価格の推移をまとめたのがこちらの表です。
[図表8 まとめ]
やはり目を引くのが国立大学授業量の急激な増加ぶりです。2017年の数値は1500、つまり15倍にも上昇しています。国立大学に比べて元々高かった私立大学文系も約7倍に増えています。
一方、仕送り額は1990年代前半までは私立大学文系の上昇率に追従しましたが、バブルが崩壊し、いわゆる”失われた20年”に入ると右肩下がりになっています。高騰する学費と不景気に耐えきれなくなった家庭の様子がうかがえます。
その他の家賃、ラーメン価格の価格も右肩上がりですが、それよりも最低賃金の上昇率が上回っているので、なんとかカバーできています。
これらのことから、物価が上昇しているのに仕送りは減り、苦しくなった懐事情をバイトで支えている状況が見えてきます。一方、一時期の「大学レジャーランド」批判を受けて、大学は学生の授業参加や成績判断を厳格化しており、以前ほどバイトに励むこともできません。一昔前の学生生活が牧歌的にさえ見える苦しい状況と言えるでしょう。
少子高齢化が進み、経済の縮小も心配される現代の日本。せめて日本の未来を支える学生だけでも安心して学べる環境にしてあげたいものです。
(編集協力:株式会社バーネット)
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