「令和の大学生」の懐事情が明らかに苦しい理由 大学の授業料は上がり仕送り額は落ちている

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この数値は物価の変動も織り込んだものなので、物価上昇率をはるかに上回る速度で授業料が上がっていることを意味しています。これは当時の大学生の半分以上を占めていた私大の授業料との格差が大きく開いたため、国立大学の授業料を値上げする方向に政策転換したのが原因です。

授業料と反比例する「仕送り額」

実際に、私大の授業料と重ね合わせてみると、1970年代にかけて両者の差が開いていることがわかります。1970年代後半以降、国立大学が授業料を上げると、私立大学もこれに追随するように授業料を上げており、両者がイタチごっこのように授業料を上げています。

[図表3 国立大学の授業料・私立大学文系授業料]

そんな授業料の急上昇のあおりを受けたのが、仕送り額です。家計調査によると2017年の仕送り額は年額5637円。これは仕送りしている家庭だけでなく、していない家庭(仕送り額0円)を含めた平均額です。授業料と同様に現代の価値に換算した仕送り額の推移を見ると、1950年代はじめは1000円台だった仕送り額は1970年代に5000円台に到達。

[図表4 仕送り額]

その後1990年代にはピークとなる8503円まで上昇しますが、その後は大きく下落し1970年代と同じ5000円台にまで下がっています。

1970年代から現代にかけて大学進学率が40%弱から60%弱に上昇し、仕送りをする家庭が増えていることを考えると、実質的に1960年代の水準まで後退していると考えらます。

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