日本人が知らない「外国語案内」の不十分な現実 笑われてしまう中国語表記をなくすには?
今までの観光案内は日本人向けであったので、まず外国語に翻訳する必要がある。さらにマナー・やり方・文化など「暗黙の共通認識」部分は説明されていないので、外国人観光客向けに明示する必要がある。観光庁をはじめ、各地の観光振興機構も補助金を提供し、多言語対応に力を入れていることも後押ししている。
多言語対応はまだ発展途上
しかし、主に3つの原因で多言語対応はまだまだ途上だ。
第1は、汎用案内を事業者がインターネットの翻訳ツールで済ませていることだ。
多言語対応には、全国共通の「汎用案内」と特定のシーンで使う「専用案内」がある。
汎用案内は、図1に示すような「トイレの使い方」や「前に進んでください」などの方向案内、温泉の入り方などである。つまり、特定の場所でしか使えない案内ではなく、「全国/業界共通」の案内だ。
汎用案内について、ある事業者にヒアリングしたところ、インターネットの翻訳ツールを使い、そのままコピペをして印刷することがあるようだ。「意味が通じればいい」と考える人も多いが、意味さえ通じていない結果が多いため、安易に済ませられることではない。
一方、専用案内は、自社あるいは限られたシーンで使う案内である。
「そのまま置いてください」「食べ終わったゴミはこちらのごみ箱に持って来てください」といった細かい案内(指示)を指す。カスタマイズした内容が多いため、翻訳会社やネイティブの手助けが必要である。
実は観光庁は、「観光立国実現に向けた多言語対応の改善・強化のためのガイドライン」を発表している。
多言語での表記方法、対訳語一覧なども細かく書かれているが、その存在を知らない事業者が多い。情報共有の不足により、正しい外国語案内の情報が存在するにもかかわらず、間違いが多い自前翻訳をしているのではないだろうか。
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