日本人が知らない「外国語案内」の不十分な現実 笑われてしまう中国語表記をなくすには?
解決方法として、ガイドラインのわかりやすい解説書の出版、ホームページでのテンプレートの掲載が挙げられる。
ガイドラインなどの認知度が低いと思われるため、国がテンプレートを作成し、ホームページに掲載。自治体、DMO(デスティネーション・マネージメント・オーガニゼーションの略で、地域と協同して観光地域作りをする法人)、各種事業者に適切に周知を図っていくことが重要となる。また、業界共通の汎用案内に関するテンプレート作成ついても、国からの支援が望ましい。
誰もチェックしていない
第2に、翻訳内容を誰もチェックしていないとみられることだ。補助金を使い、翻訳会社に依頼するケースも増えているとみられる。
筆者が補助金を出す機構、補助金をもらう事業者に聞いたところ、ダブルチェック(第三者による翻訳の確認)を誰もしていないケースが多く、実際はチェックしようともしていないことがほとんどだ。
全国でいろいろな翻訳納品物をみてきた。完璧なアウトプットも多いが、「お金を出しているのにこれはひどい!」と心を痛めたことが何度もある。翻訳会社のレベルがわかりづらく、選定が難しいかもしれない。
翻訳を依頼する場合、「(外国語なので)自分がわからないから、お任せでいい」のではなく、ダブルチェックをしっかり実施する翻訳会社を選び、留学生、ネイティブ社員などの力を借りてさらにチェックを行ったほうが安心だろう。
第3に、「多言語案内=日本語から多言語への翻訳」と理解される方が多いだろうが、自分のルール、伝えたいことを外国人観光客に理解してもらうには、外国人観光客の国のこともある程度理解しておく必要がある。
例えば、読者のみなさんは、一部の中国人がトイレットペーパーを流さないことに対して不愉快に思っていないだろうか。日本では、トイレットペーパーをそのまま流すのは習慣、つまりマナーなので、そのまま流さないことはマナー違反になる。
しかし、中国では、トイレが詰まってしまう恐れがあるので、トイレットペーパーを流すのではなく、かごに入れることがマナーとなっているのだ。言い訳に聞こえるが、中国人は中国流のマナーにのっとって日本で行動すると、マナーが悪いと見られる。実は、国の習慣が違うだけだったのである。
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