日本人が知らない「外国語案内」の不十分な現実 笑われてしまう中国語表記をなくすには?
最後に1つの好例を紹介したい。鳥取県東伯郡北栄町は、『名探偵コナン』の原作者でもある青山剛昌氏の出身地として有名な町だ。コナンファンが多い訪日中国人にとって、天国のようなところでもある。
青山剛昌ふるさと館もあったり、観光客誘致のためと思われるタクシー補助金もあったり、街全体でインバウンド消費を盛り上げようという意欲が高い。
青山剛昌ふるさと館に視察に行った際、トイレのマナー周知の案内文に、ピンク色に塗られた一言を見て、インバウンドの本気さ、つまり相互理解のレベルが高いことに感動した。
相互理解を深めることが基本
「トイレットペーパーをそのまま流してください」という案内/指示以外に、「トイレットペーパーは水に溶けやすいです」と丁寧に書いている。
つまり、中国ではトイレットペーパーが水に溶けないことを心配するので、普段は水に流さないことを理解したうえで、親切に説明しているのだ。この案内を見たら、中国人観光客も安心して流すようになるだろう。
外国人観光客の受け入れに、日本は少しずつ慣れてきているように感じる。自分が伝えたいことを正しく理解してもらうことは、インバウンド戦略のファーストステップとなる。汎用案内、専用案内それぞれ、国や地域・業界が連携して外国人観光客向けの正しい外国語案内整備を行うことが必要である。
さらに、効果的に伝えるには、外国人観光客の国情の理解も必要だろう。
相互理解を深めることこそ、日本ファンの育成、リピーターの確保につながる――これは、観光立国の基本である。
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