「脱百貨店路線」で新たな顧客層を獲得 好本達也・大丸松坂屋百貨店社長に聞く

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――斬新なテナントの導入は、単なる「場所貸し屋」ではないか、との声もある。

我々はあくまでも小売業であり、固定家賃ではなく、売上高×利益率で粗利を稼がなくてはならない。だが、不動産業的なところもある。コストを意識する上でこれは重要だ。消化仕入れビジネスでは、面積当たりのコスト、つまり管理コストや投資コストを緻密に見る必要があるからだ。

百貨店は、これまで店長がコストを全体でコントロールしており、1階で儲かっているのか2階で儲かっているのかよく分からなかった。多くの店は地下の食品では儲からない。1階は儲かっても、2~3階の婦人服が儲からず、紳士服では儲かり、その上は全く儲からない。全体ではこんなものだ。パルコは期待収益、コストをしっかり見ている。不動産業では当たり前のことだが百貨店業にはそれが欠けていた。いまは、フロア別のコストと粗利が構造として見えるようになってきた。

銀座店は日本を代表する商業施設にする

――建て替えて17年に再開業する予定の銀座店のイメージは。

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銀座店は17年の再開業へ向け建て替え(写真は13年6月30日の閉店セール、撮影:尾形文繁)

日本でいちばん地価が高く、ペンシルビル文化の銀座にあって、空前絶後の開発であることは間違いない。いろんなブランド、メーカーからも注目されている。収益レベル、店舗の完成度への期待も高い。世界に対して、日本を代表する商業施設にしなければならない。

顧客層は世界から来る外国人旅行客、日本国内の観光客、周辺のビジネスマン、買い物客の4つ。そのバランスを見ていく必要がある。周囲にはファストファッションの店もたくさんあるが、それとは一線を画した質の高さが必要だ。

想定以上に海外のお客様が増えている、オリンピックも開催される、自ずと方向性が出てくる。日本や世界の旗艦ブランドが軒を連ね、誰もが何度も足を運びたくなる店にしたい。ゴージャス一辺倒でもダメだ。4万平方メートルのバブルの塔などありえないからだ。

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