「孤立した子供を助けたい」児童精神科医の挑戦 目指すは「優しいつながりが溢れる未来」
東京都が2017年に発表した調査によると、「孤独を感じる」と答えた子どもは、小学5年生は31.7%、中学2年生は31.3%、16〜17 歳では37.0%にも及んでいます(※3)。
「安心して頼れる関係なのかどうかって、目には見えない。だからこそ、孤立はわかりづらい。隣に人がいても孤立することはあります。
例えば、家に人がいても、学校に行っていても、もしかしたらその関係が安心できなくて、頼ることが難しくて、孤立しているということはあるのではないかなと思っています。身近に安心して関われる人がいたりとか、安心して頼りあえたり相談しあえたり、そういう人たちがいる中で、子どもたちは『自分の悩みを出していいんだな』『チャレンジしていいんだな』『将来って希望を持っていいものなのかもしれないな』と思いながら、どんどん成長していくのです。」
(※3)東京都子供の生活実態調査報告書 【小中高校生等調査】、平成29年3月、首都大学東京 子ども・若者貧困研究センター
水戸市にも活動広がる
これまでは首都圏を中心とした活動にとどまっていましたが、「全国津々浦々で、子どもの近くに優しい市民を増やしていきたい」と全国展開を決めたPIECES。第一弾となる茨城県水戸市での「子どもと寄り添う優しい大人」育成プログラムは、「NPO法人セカンドリーグ茨城」と共催で実施します。
セカンドリーグ茨城の理事長・横須賀聡子さんは、PIECESの取り組みに共感し、協働していくことを決めたと言います。
「(PIECESは、)専門家が何かをするとか、専門系な知識をつけて子どもを支援するというアプローチではない。『子どもを信じる』というところからスタートしているところがいいなと思いました。コミュニティが小さければ小さいほど『支援』を受けにくいという状況がある。
『あそこの家、大変なんだ』と言われるのは嫌だから。『支援』という『支援』ではなく、一緒に何かをするとか、ただ一緒にいてくれるとか、困った時に話を聞いてくれるとか、そういう人が街中にあふれていれば解決できるものがあるんじゃないかなと思っていて。専門家がどれほど夜も寝ずに対応しても間に合わない。予防的な小さな力が集まるってことはすごく大事なんじゃないかなと思います」