「孤立した子供を助けたい」児童精神科医の挑戦 目指すは「優しいつながりが溢れる未来」
全国展開するにあたって、「地域の主体性を大切にプログラムを作っていきたい」と小澤さんは考えています。
「水戸は、地域や行政の方たちと丁寧に関係を作ってきたキーとなる団体があるというのが大きかったです。各地域の文化を大事にして、自律分散的に地域の市民の方達が主体となって子どもたちに関わっていける土壌を作っていきたいと考えています」と小澤さん。
横須賀さんは、PIECESの実績のあるプログラムを取り入れつつ、地域のニーズや状況に合わせて自分たちでプログラムを作っていける点に期待しています。
「地域によって必要としているものやできることが違う。例えば、(東京と比べて)子どもたちに対して細かい場をたくさん開けていくというだけのマンパワーはない。そうすると、東京みたいに拠点を1個作るのではなく、子どもが集まれるところに出かけて行ける人を増やすということが、地方だったら合理的かなと。それで子どもにちゃんと出会えるし向き合えるかなと感じています。(PIECESとの協働では、)そういうことを視野に入れて、地方で何ができるのかという視点でプログラムを作っていける。それは、今回安心して協力できたポイントでした」
「みんなできることがある」
水戸市で始まる、2019年6月からの半年間の「子どもと寄り添う優しい大人」育成プログラムの中では、ゼミ形式で心理学・医学・教育学・社会福祉などさまざまな分野を横断的に学ぶとともに、実際に子どもと関わる現場実践も行い、子どもに寄り添い関わっていくために必要な知識や力を身につけていきます。
説明会に参加した茨城大学2年の三輪初音さんは、「将来警察官になりたくて、子どもに関することができたらいいなと思っているので、話を聞いてみようかなと思いました。親のいない子どもとか、学校に行けていない子どもたちの力になりたいなと思っています」と話します。
また、茨城県鹿嶋市在住の真家知子さんは、「私も子どもが2人いるのですが、小学校でも『大丈夫かな』というお子さんを目にします。昔、幼児教育に携わっていたこともあり、地元でこういった活動があるのであれば、人生の折り返し地点で社会問題に貢献できたらなと思いました」と話してくれました。
「一人ひとりが子どもの環境を作っている人だからこそ、直接的にでも間接的にでも小さくても、みんなできることがある。専門家だけではなく、市民一人ひとりが子どもたちの周りに優しい間を生み出すことで、社会が寛容に変化していくということを伝えていけたらいいなと思っています」と小澤さん。
「子どもと寄り添う優しい大人」育成プログラムは、今後、関西や九州などでも展開していく予定です。人と人との優しいつながりが全国に広がり、子どもたちが「困りごとを相談できる人」を見つけて安心して頼れる社会を目指し、PIECESの挑戦は続いていきます。
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