「閑古鳥」ジャカルタ空港線、地下鉄開業で挽回? 都心アクセス改善で「座れる通勤電車」に
スディルマンバル駅のコンコースには、従来掲示がなかった路線図も張り出された。
実は当地において、路線図は非常になじみの薄いものである。多くのインドネシア人は文字情報、とくに面的な情報取得を非常に苦手とする。「どうせ貼っても誰も見ないから(これまでは貼っていなかった)」と笑って話すボハス氏であるが、MRTJ利用者、また海外からの利用者のことを考慮し、最近掲出を始めたそうだ。少しずつではあるが、外国人にも優しい空港鉄道になってきている。
また、現在はスディルマンバル駅発着となっている空港線であるが、折り返し設備がないため車両は隣のKCIマンガライ駅まで回送されており、将来的には空港線も同駅発着となる計画だ(現在は日に4往復のみブカシ発着)。
まだまだ多い課題
マンガライ駅は目下立体化工事中で、およそ空港線の客扱いができる状況ではない。運輸省の発表によると3月下旬までの空港線乗り場の完成を目指していたが、目標には間に合わなかった。
もっとも、現状では仮に客扱いを開始したとしても、駅前は昔ながらの混沌とした風景で、物売りやバジャイと呼ばれる伝統的な三輪タクシーがひしめき、道路を歩くのも一苦労だ。プレマンと呼ばれるチンピラが駅前を管理しているため、大手のタクシーは入ることもできない。
ただし、立体化工事の全面完成の暁には、現在バラバラに発着しているKCIの通勤電車・KAIの長距離列車、そして空港鉄道がマンガライ駅に集約され、合わせて駅前も大規模再開発が実施される予定だ。
このほか、2019年上半期をメドに旧市街中心部のジャカルタコタ駅にも乗り入れるルートを設定し、空港発着の本数を増加させる計画だ。
だが、ジャカルタ北部の旧市街中心部から発着したところで、需要を生み出すことは難しい。レイリンクも十分それはわかっており、本来ならば現状ルートのブラッシュアップを図るべきであるのだが、運輸省、また親会社のKAIの意向で、その方針に従わざるをえないのだという。
中身を詰めず、形式ばかり重視するインドネシア人官僚の気質をまさに反映したような状況で「走ることに意義がある」と揶揄されてしまうゆえんでもある。
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