「閑古鳥」ジャカルタ空港線、地下鉄開業で挽回? 都心アクセス改善で「座れる通勤電車」に
2018年1月2日に正式開業したスカルノ・ハッタ空港鉄道。昨年2月には長雨による盛土の崩壊で4日間運行を停止するトラブルもあったものの、その後の運行は順調で、気づけば1年以上が経過した。
路線の大半を既存の通勤鉄道(KCI)と供用することから定時運行に一抹の不安もあったが、実際に走り出すと遅延はほとんど見られない。おおむね朝5時から夜23時まで30分間隔で、都心と空港を46分で結ぶ鉄道は、これまで道路交通に依存していた空港アクセスを劇的に改善した。
しかしながら、開業当初のブーム、また昨夏開催されたアジア競技大会の期間が過ぎると乗車率は惨憺(さんたん)たるもので、6両編成の列車は、時間帯によっては1人で1車両貸し切り状態になることもしばしばだった。
利用客数が年間6000万人を超えるスカルノ・ハッタ国際空港のアクセス鉄道としてはあまりにも寂しい輸送実績だった。
本当に利用者は増えていた
だが、最近になって目に見えるように乗客が増えていると感じる。たまたま乗客が多い日に筆者が乗り合わせているのか、果たして本当に乗客数が伸びているのか、空港線を運営するインドネシア鉄道(KAI)の子会社レイリンク(Railink)のジャカルタ事務所を訪ねてみた。
レイリンク広報部の資料によれば、3月の乗客数は2月比で20%もの伸びを示している。さらに、4月に入ると1カ月の乗客数が10万人を突破した。3月といえば、4月1日に開業したMRTJ(地下鉄)南北線が無料試乗会を開始した時期に重なる。この点についてレイリンクに聞くと、最近の乗客数増加は、都心側の起点となっているスディルマンバル(BNIシティ)駅において、MRTJから乗り換える利用者を新たに獲得することができた点が大きいという。
MRTJと空港線の乗り継ぎによって空港から中心市街地の目抜き通りであるスディルマン通り沿いの主要オフィスビルやホテル、またジャカルタ南部のアパートメントへも渋滞なしで到達することが可能になった効果が、早速このように数値として現れているのだ。
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