「閑古鳥」ジャカルタ空港線、地下鉄開業で挽回? 都心アクセス改善で「座れる通勤電車」に

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さらに、レイリンクによると最近は新たな利用者の取り込みにも成功しているという。空港利用者ではなく、途中駅までの通勤利用者の姿が見られるようになってきたというのである。

MRTJドゥクアタス駅の出口看板。空港線乗り換えが案内されている(筆者撮影)

アジア近隣諸国の空港鉄道は、空港アクセスと共に沿線開発、沿線利用者の利便性向上という役割を担っている例が多い。ジャカルタ空港線の運賃形態も、都心と空港の1駅手前のバトゥチェペル駅までの運賃は都心―空港間の半額である3万5000ルピアで、当初から通勤需要も考慮されているように見える。

しかし、運賃が安すぎるKCIとはそれでも10倍近い差があるため、これまで利用者の転移はほとんど見られなかった。それがMRTJ南北線の開業により、同線沿線のオフィスワーカーが通勤手段として空港鉄道を利用し始めたのである。

ジャカルタ市内は東西軸の交通が極めて貧弱であり、道路渋滞が激しいだけでなく、空港線が走るタンゲラン方面への電車は本数も少なく混雑している。つまり、空港線が日本でいう「ライナー」的な利用をされているわけだ。

「団体」なら安く乗れる

レイリンク社のボハス氏は、都心部のオフィスワーカーにとって空港線の運賃は決して高くなく、MRTJの運賃半額キャンペーンが終わっても彼らはこのルートを使うだろうと予測する(半額キャンペーンは5月12日で終了した)。

しかも、空港線には安く乗るための「裏技」も存在する。インドネシア特有の大家族での利用を考慮した団体割引が設定されているからだ。これは、途中駅で下車する場合でも適用され、スディルマンバル―バトゥチェペル間の運賃は、3~7人の場合で1人当たり3万ルピア、8~11人で2万5000ルピア、12人以上では2万ルピアにまで下がる。乗客たちはSNS上で同乗希望者を募り、割引運賃で空港線に乗車可能なのだ。

空港線の車内。全席指定で座って通勤可能だ(筆者撮影)

ちなみに、ボハス氏本人も通勤ルートをKCIからMRTJに切り替えた1人である。ジャカルタの南方、デポックバルからスディルマンまで従来はKCIで1時間以上かけて通勤していたが、MRTJ南北線の開業によりそれが約半分に短縮。さらに「騒々しく、暑っ苦しい」KCIの混雑から解放されたのも大きいという。

MRTで毎日通勤する中で、KCIとMRTJの客層の違いを日々目の当たりにしているボハス氏は「空港鉄道の新たなプロモーションも必要になってくるだろう」と言う。そして、MRTJとの乗り継ぎ客はさらに増えるだろうと予測する。

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