日経平均がここから下がりにくいと考える理由 複数の「底入れシグナル」が点灯している?

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縮小

一方、大型連休明けの下げ相場で、足元の個人投資家の信用評価損益率がマイナス15.4%まで悪化している。同損益率は、マイナス15%水準を下回ると、追加証拠金(追い証)の差し入れにともなう投げ売り等が一巡し、相場がいったん反発することも少なくない。

信用買い残(将来の売り圧力になる)も2.1兆円台まで縮小、需給は改善に向かいつつある。実は、アベノミクス相場(2012年12月以降)を振り返ると、信用買い残のピークは3.5~3.6兆円台、ボトムが2.0兆円台だ。どうやら、信用取引における投げ売り等にともなう下押し圧力も徐々に弱まっているようだ。

株価に対する過度の悲観的な見通しは控えるべき?

テクニカル面での節目に近づいているところを見ると、「ここからの日経平均の下値は限定的」との見方も必要かもしれない。5月22日の日経平均株価も2万1283円で引けた。米商務省が中国通信機器大手への米製品の輸出規制を3カ月間猶予することを発表したことも追い風だ。テクニカル指標の騰落レシオや信用評価損益率等が売られ過ぎの水準となっているなか、日本株に対して、過度に悲観的な見通しは控えておく必要もありそうだ。

最後に、日経平均の重要な節目をあげておく(5月22日時点)
2万2307円 2019年4月高値
2万1829円 200日線(長期線)
2万1734円 25日線(短期線)
2万1433円 75日線(中期線)
2万1283円 2019年5月22日終値
2万1205円 2019年3月末値
2万0731円 半値押し(1万9155円→2万2307円に対し)
2万0617円 2018年3月安値(米中貿易摩擦懸念)
2万0014円 2018年末値
1万9155円 2018年12月安値(原油価格急落)

中村 克彦 みずほ証券 シニアテクニカルアナリスト

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なかむら かつひこ / Katsuhiko Nakamura

IFTA国際検定テクニカルアナリスト(MFTA)、日本テクニカルアナリスト協会(NTAA)評議員。

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