アメリカで「中絶禁止法」が次々成立する事情 8州で中絶の権利に意義を唱える州法が成立
最高裁判所は、中絶に関する裁判を行わないと決める可能性もある。しかし、ジョンストンやこの運動のエネルギーを導いている活動家らは、いまがこれまでで最高のチャンスだと言う。
ジョンストンは「すべてのコマがそろっている。いまがベストのタイミングだろう」と述べた。
中絶と同性婚が説教の中心に
活動家らは多くの保守的な教会に支えられているが、それらの教会は、中絶の問題に重点を置くようになっている。アラバマ州で大きな影響力を持つ歴史学者で、バプテスト教会の牧師でもあるウェイン・フリントによると、南部バプテスト教会では、数年前は離婚や姦淫、婚前性交渉などを戒める説教を行うことが多かったが、いまでは「大きな変化が起こっている」と言う。「中絶と同性婚に焦点が絞られている」のだ。
中絶の権利を擁護するグループは、こうした法律に裁判で戦う構えだ。5月21日には、全米の州議会議事堂や裁判所で、NARAL(妊娠中絶権擁護全国連盟)や全米家族計画連盟が、最近成立した多数の中絶禁止法に反対する抗議行動を行った。
全米家族計画連盟行動基金のプレジデントであるリアナ・ウェンは声明で、「私たちの基本的な権利に対する前例のない攻撃に対して、私たちは団結しなければならない」と述べた。「私たちは、命の戦いをしている」。
中絶反対派も、自分たちの戦いについて同様に感じている。
ミシシッピ州の州知事に立候補しているテート・リーブスは言う。「活動を取りまとめる必要はない。人生のあらゆることで重要なのは勢いだ。バスケットボールの試合でも、私の娘が所属する14歳以下のソフトボール・チームでも同じことだ。勢いが増せばメンバーに力と自信が生まれ、やり遂げることができる」。
(執筆:Elizabeth Dias、Sabrina Tavernise、Alan Blinder、翻訳:東方雅美)
© 2019 New York Times News Service
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