学生の就活意識--逆風下の就活は「不安」だけど「楽しみ」!?
就職環境の見通しを「厳しい」と答えた学生は前年比で3倍以上--。リーマン破綻直後の昨年9月下旬、文化放送キャリアパートナーズの「学生モニターアンケート」調査の結果だ。楽観視している学生はほぼ皆無。しかし、「不安もあるが、就職活動を通して多くの人と接し、社会のことを学べることを楽しみに思っています」(法政大・男)と、就職活動が「楽しみ」と前向きに回答する学生も3割強いた。
就職サイトが本格オープンし、企業へのエントリーなど就活が始まった11月上旬には、就職環境を「厳しい」と回答する学生がさらに増え、9割強と悲観一色となった。特に女子は男子に比べ、「厳しい」と回答する学生が10ポイント以上も多い。
内定取り消し、派遣切りの影響大 不安は就職準備の早期化に反映
就職活動への不安点として、「金融機関の採用枠が減ると聞いて気になる」(神戸大・男)、「志望企業が日本から撤退する可能性が出ている」(九州大・男)と環境変化によるものを挙げる学生が増加。昨年の学生が同時期に感じていた不安は、未知の就職活動への漠然としたものだったが、不安要素が多岐にかつ具体的になっている。
不安意識は就職準備の早期化という形に表れている。就職活動への取り組み調査では、企業側の動きにかかわらずできる「自己分析」「業界、企業研究」「就職試験対策」が、昨年の学生より高い割合で推移。企業への平均プレエントリー数も昨年より多い社数で推移している。就職活動の早期化は毎年いわれてきたが、今年は、企業側のセミナー開催時期が昨年とさほど変化しておらず、学生側だけの「就職準備の早期化」が特徴といえるだろう。就職準備を促す要因としては景気後退報道のほか、「80社はプレエントリーしなさい」「50社受けて1社内定がもらえる程度」など、大学での就職指導も一因のようだ。
11月末から大きく報道された一連の「内定取り消し」問題。1学年上の先輩に起きた問題は、悲観的なムードをさらに深める形になった。12月下旬の調査結果では、「直接的・間接的に内定取り消しを受けた先輩の話を聞いた」と答えた学生が3割強。当事者意識を持って受け止めた学生が多い。「どの会社を選んでも、内定取り消しがあるかもしれないと思うようになった」(日本大・男)、「会社が口にする『うちは大丈夫』という言葉が信じられなくなった」(甲南女子大・女)。自身の志望企業・業界選びに影響したと回答した学生は約2割。内定取り消しや上場企業の倒産が相次いだ不動産業界、雇用調整が報じられている自動車メーカー、経済危機の端緒となった外資系金融を挙げた学生が多い。不安感は安定志向につながり、公務員など、好不況の波が少ないと思われている業界の人気が高まっている。
一方で、人気の高い大企業だけを志望して失敗する危険性も感じており、志望企業の幅を広げる必要性も認識している。「財務が盤石な会社を探す意識が生まれた」(京都大・女)など、自分なりに有望企業を見つける努力をしている学生も多い。「どこの会社が潰れるか予測は立てづらい。会社で選ぶのではなく、どのような仕事をしたいのかを自分に問いかけながら進めていく」(東京大院・男)というように、周囲の情報に過敏にならず、自分に向き合って就活に臨むのが、正しい姿だといえる。
【調査概要】文化放送キャリアパートナーズ「学生モニターアンケート」より
対象:2010年春卒業予定の「ブンナビ!」会員 大学生・大学院生(モニター会員)
期間:2008年9月から月2回定期的に実施
方法:Webアンケート
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