トヨタ、日産が「中国地場メーカー」と組む狙い 地元企業と連携でNEVクレジット獲得も一案
この数年間に、IT系・異業種を含む約60社の新興EVメーカーがEV開発に乗り出した。メーカーが乱立するなか、中国政府はライセンス制度を導入し、2019年5月時点、計20社にEV生産ライセンスを発給した。
現在ITベンチャーを含む新興EVメーカー数十社がファンドから資金調達するなどして懸命にEVを開発するも、生産ライセンスを獲得するメドは一向に立っていない。そこでやむをえず上海蔚来汽車(NIO)、小鵬汽車、奇点汽車などは既存自動車メーカーにそれぞれEVを委託生産し、威馬汽車、車和家は既存EVメーカーの買収により生産ライセンスを獲得した。
中国新興EVメーカーはIT・ソフトウェア技術の面で強みを持っているものの、ものづくりのすり合わせ技術や基盤技術では日本企業に後れをとっている。
日系自動車メーカーがこうした新興メーカーと組めば、中国の政策動向、技術トレンドをいち早くキャッチできるだけでなく、ネット技術とクルマが融合し、消費者データを利用するマーケティング手法やモビリティービジネスに活用できる。
現地企業と協業でNEVクレジット購入も
冒頭で取り上げたトヨタと日産の事例からも、日系メーカーの本当の狙いは中国新興EVメーカーが生み出すNEVクレジットを優先的に購入することにある。また、生産ライセンスを取得していない新興EVメーカーに対し、日系自動車メーカーは委託生産の形でNEVクレジットを獲得することも1つの打開策として考えられる。
今年から日系自動車メーカー大手3社は一斉に中国NEV市場で躍動し始めた。トヨタは広州工場を増強し、2022年に最大でNEV年40万台の生産能力を設ける。ホンダは武漢第3工場を稼働し、広州工場の改装とライン新設で年産計17万台のNEV生産拠点の建設を計画している。また日産は武漢で年産30万台の新工場建設を決定した。
一方、補助金を2020年までに廃止する方針や外資系メーカーの市場参入などを鑑みれば、現実は日系メーカーにとって決して甘くない。今後、中国NEV市場の熾烈な競争を予感させるなか、日系自動車メーカーは既存の地場合弁パートナーとの関係を強化し、成長著しい地場EVメーカーや、スマートカー・自動運転関連メーカーとも能動的に協業していくべきであろう。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら