トヨタ、日産が「中国地場メーカー」と組む狙い 地元企業と連携でNEVクレジット獲得も一案

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中国政府は今年より、生産・輸入台数の10%相当分を「NEVクレジット」として計算し、罰則付きで乗用車メーカーのNEVシフトを推進する。同時に、ガソリン消費1ℓ当たりの平均走行距離を、2018年16kmのところを2020年に20km、2025年には25kmに引き上げることで、乗用車メーカーに省エネ化製品の投入を迫る。目標未達成分は「不足燃費クレジット」として計算される。

ところが排気量の大きいSUVの需要は年間900万台規模であり、乗用車メーカー各社の注力分野である。そのため乗用車メーカーは、燃費超過分をNEV生産あるいはNEV他社への出資で対応せざるをえない。

燃費目標未達成メーカーが半数近くに

今年4月、中国政府が発表した2018年度の燃費目標達成状況をみると、規制対象となる乗用車メーカー112社のうち、47社が目標未達成となり、日産、ホンダ、三菱自など日系自動車メーカー7社が名を連ねた。

これらの未達成企業は、クレジット不足分を関連企業(25%以上の資本関係)からの余剰燃費クレジットの譲渡や、自社NEVクレジットの利用で賄うか、さもなければ他社からのNEVクレジットの購入で未達成分の穴を埋めるしかないと見られる。

現在、中国沿海部の大都市ではナンバープレートの発給規制によるEV特需があり、短距離移動に適したEVコンパクトカーが市場需要の過半を占める。ひるがえって内陸部の中小都市では対ガソリン車のコストパフォーマンスだけではなく、価格・品質・利便性もEV購入の重要な条件となる。

今日に至るまで中国のNEV市場は補助金政策を追い風に急速に拡大してきた。しかし今年の補助金基準をみると、航続距離400km以下のEVが前年比最大60%減額されるとともに、補助金支給の技術条件も厳格化される。

個人需要の減速が懸念される中で、NEV販売台数全体に占めるリースやカーシェアリング需要の割合は、2018年の7%から2019年1~4月は27%へと急速に上昇した。

しかし昨年の中国自動車生産台数に占めるNEV生産比率は4.5%であったのに対し、日系各社のNEV生産台数は約1万3000台、生産比率は0.5%以下にとどまった。すでにシルフィEVを生産する東風日産にしてもNEV生産比率は1%弱にすぎなかった。

ガソリン車の生産規模およびNEV需要の実態を考慮すれば、NEV生産のみで「ダブルクレジット政策」に対応するのは現実的ではなく、日系メーカーは当面、その課題に直面せざるをえない。

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