意外と知らない「ラマダン」、3つの深い意味 日没後に無料で食事が振る舞われる理由
5月6日からイスラム教徒が1カ月間、食を断つ「ラマダン」が始まった。日が出ている間は一切の飲食をしないことで知られるが、日没後、はじめてとる食事「イフタール」をご存じだろうか。
イスラム文化圏では、街角やモスクや職場で無料の食事が振る舞われ、みんなでイフタールを楽しむことが習慣となっている。もちろん日本の中のイスラムコミュニティーでもいま、各地でイフタールが行われている。これはイスラム教徒ではない日本人でも歓迎してくれるのだ。
ともに寄り添い食事をするイフタール
まるで万華鏡のような、精緻な文様が天井の高いドームの内側を覆う。左右対称の幾何学的なアラベスク文様は、ドームだけでなく白亜の内壁を彩っている。
ステンドグラスから差し込むやわらかな光。日本最大のモスク、東京ジャーミイ(代々木上原)の礼拝堂に立つと、どこか中東の世界遺産を見ているような気がして、東京だということを忘れる。
夕方の礼拝を終えると、誰もが三々五々、階下に降りていく。1階ホールの前ではいくつもの大鍋を並べて、料理を振る舞っていた。この日のメニューは鶏肉とキノコの煮込み、野菜スープ、パスタ、それにチョコレートのプディングだ。
トレーにたっぷり盛ってもらいホールに入ると、すでに大勢の人々がにぎやかにテーブルを囲んでいた。その顔立ちはさまざまだ。東南アジア系、インドや中近東、アフリカの人々……共通点はただ1つ、イスラム教徒であるということ。
太陽はやっと沈んだ。今日の断食は終わりだ。そしてイスラム教徒がともに寄り添い、同じカマのメシを食う「イフタール」が行われる。1日の空腹と疲れを癒やすように、そしてイスラム教徒同士のつながりを確かめるように、楽しく語らいながら食事をとる。これらはすべて無料で振る舞われている。そして東京ジャーミイでは、イスラム教徒でなくとも、誰でもイフタールに参加することができるのだ。
イスラム暦におけるラマダン月は、「断食(サウム)」の習慣で知られている。イスラム教徒はおよそ1カ月、日が出ている間はいっさいの飲食を断つ(妊婦、子供、病人、旅行者などは別)。