対するアメリカはどうだったでしょうか。日本が平成に入った1989年当時のダウ平均株価は2300ドルでしたが、1990年代後半のデジタル・エコノミーの急進で1999年には1万ドルを突破します。
ITバブルの破裂で株価は大きく後退するものの、今度は住宅市場の活況が株価と経済成長を押し上げました。その後のリーマンショックで株価は半値まで下落しますが、約5年でショック前の水準に復帰し、その後も好調な経済・企業活動を背景に上昇が続き、直近まで高値を更新し続けてきました。
「貯蓄から資産形成へ」自助努力促す
日本は、世界に先駆けて少子高齢化が進展し、かつ平均寿命でも世界トップという長寿国となっています。このところ、「人生100年時代」というフレーズを見聞きする場面が増えてきました。日本はその問題に真っ先に直面するといっても過言ではないのですが、ここで問題となる最大のテーマが「お金」の問題です。
金融広報中央委員会が行っている世論調査によると、老後の生活について「心配」と回答している人の割合(「非常に心配」+「多少心配」)は8割に達しています。この割合は直近の10年間ほぼ変わっていません。その理由として、「年金や保険が十分ではないから」「十分な金融資産がないから」という項目が圧倒的多数を占めています。
確かに、今後は公的年金だけで長い老後人生をまかなっていくのは厳しくなってくるでしょう。時代に合った社会保障制度、雇用制度、働き方への見直しが叫ばれるのは当然ですし、私たち個人も意識の変化と自助努力、つまり将来に向けた資産形成が不可欠になってきます。
日本の家計が保有している金融資産は2018年末時点で約1830兆円、このうち現金・預金が全体の53.8%と過半を占めています。一方で、株式は9.6%、投資信託は3.7%、両者をあわせても13%強にとどまっています。
日本ではゼロ金利が長期化し、日本銀行の統計によると、預入金額300万円未満の1年物定期預金の金利が0.1%を下回ってから9年あまりが経過しています。その間も金利は段階的に下がり続け、直近では0.01%となっています。仮に1000万円を預金し複利で10年間預けたとして、10年後に受け取れる額は1001万0005円。これでは将来への備えとしてはまったく不十分です。
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