登校をしぶる子に「言ってはいけない」言葉 「登校圧力」はなぜかけてはいけないか

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しかし、どのような形の登校圧力であっても、子どもが大きく崩れてしまうことがあります。ですから、その働きかけが本当に子どもにとって必要なのか、十分に配慮することが求められます。

むしろ「ゆっくり休んで大丈夫だからね」の一言が救いになるかもしれません。

学校はすべての子が学べる環境をつくること

もう1つは、仮に復帰したとしても、「安心して学校生活を送ることができるような支援体制」をつくる余裕が学校にあるのか、ということです。

不登校の復帰指導を一生懸命していても、登校復帰をするのは25%(平成29年度問題行動等調査参照)ですが、そこには多大な時間と労力を要します。

家庭訪問などでも数時間が費やされ、その間は、ほかの児童生徒に時間を使うことができません。事務作業や教材研究なども多く、勤務時間外労働を強いられている先生も多いです。

「夕方や夜に学校に来てもいいよ」と言う先生もいますが、決してスタンダードになってはいけないと思います。

教育機会確保法にあるように、学校はすべての子が学べる環境をつくることが最も重要なはずで、登校させることが目標ではないのです。

先生自身も、登校圧力から解放されるべきです。むしろ休むことに対して不安にならないことです。

新学習指導要領には「自らの意思で登校」とありますが、落ち着くと、学校復帰も含めて自分たちで動き出す子が多いです。

私がしていることは、それを信じて、動き出したあとの準備を、希望をもって進めることなのです。

庄司証(しょうじ・あかし)/1980年生まれ。「函館圏フリースクール すまいる」代表。不登校・高認・進学支援にとり組んでいる。元大学非常勤講師。

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また、不登校、いじめ、ひきこもりに関するニュース、学校外の居場所情報、相談先となる親の会情報、識者・文化人のインタビューなども掲載されています。紙面はすべて「親はどう支えればいいの?」という疑問点から出発していると言えます。

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