今年1月に世界最大の電子機器見本市CESで発表された新型メルセデス・ベンツCLAクーペのプレス向け国際試乗会がドイツのミュンヘンで開催された。日本から参加したジャーナリストは筆者を含む2人だけ。しかしながらCLAは日本市場でも、決して存在感の小さいモデルではない。何しろ昨年の販売実績では、エントリーモデルのAクラスに匹敵するほどの台数が売れているのだ。
一方で古くからのメルセデス愛好者、あるいはファンの多くが、CLAの名にあまりポジティブな印象を抱いていないのも事実である。
見た目最優先で4ドアなのに後席には大人がまともに座ることができないパッケージング、基本骨格を共有している先代Aクラスと同様に、お世辞にも高いとは言えない走りの質など、あらゆる面で“質実剛健”、“ドイツ車らしい理詰めの設計”、“最善か無かの哲学”といったメルセデスらしさが感じられないというのが彼らの言い分。正直に言えば、それは私も100%同意するところであり、実はミュンヘンに赴く前には、期待値はさほど高くなかったのだった。
それでも2013年にデビューした先代CLAが、世界的に、おそらくはメルセデス自身が期待していた以上に売れたことは事実だ。しかもユーザー年齢層はメルセデス・ベンツの中でもとびきり若く、また他ブランド車からの乗り換え率も際立って高いという。
大事なのはメルセデス・ベンツに見えること
そのいちばんの理由はデザインだと、メルセデス・ベンツ自身は見ている。スタイリッシュか否かで言うならば、横置きFFレイアウトだけに仕方がないとはいえ頭でっかちのフォルムは特段スマートとは言えない。しかし肝心なのは、そういうことではないようである。
まず大事なのは、ちゃんとメルセデス・ベンツに見えること。それは、大きなスリーポインテッドスターを戴くフロントマスクが、十分に叶えている。そして、4ドアクーペのそのフォルムが醸し出すクラスレスな存在感もアピールしたという。
CLAは確かに、Sクラス、Eクラス、CクラスにAクラスというヒエラルキーからは少し外れた存在である。詳しい人なら「あれはAクラスの派生で~」となるだろうが、世間一般はそこまで深く内容を知るわけではない。言い換えれば、それは「価格以上に高く見える」ということでもある。こうして考えれば考えるほど、先代CLAに売れない理由はなかったと言えそうだ。
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