グーグルが示した「プライバシー不信」への回答

個人情報の「可視化」と「制御」とは?

5月1日にすでに発表されていた対策だが、各種サービスの利用履歴を一定期間で削除できるようになった。これまでも機能ごとに記録する、しない、記録を削除するといったことは可能だったが、新たに記録を許容しつつ、その期間を3カ月、あるいは18カ月から選べるようになっている。

利用履歴をすべて消してしまうと、ユーザーごとに自動最適化した機能が利用できなくなる。このため完全に記録しないモードだけでなく、一定期間のみ保存するモードを追加した。

このほか、グーグルはアップルと似たアプローチでAndroidのプライバシー強化も行おうとしている。Android 10(Android Q)の位置情報利用範囲を調整したほか、端末を特定できるMACアドレス(無線LANインターフェースごとの固有番号)を匿名化するなど、端末利用者を特定するための手がかりを減らそうとしている。

ウェブブラウザーのChromeは、どの利用者がサービスをどのように使ったのか、足跡をたどることができる「フィンガープリント」対策が強化され、情報記録機能のクッキーに関してもプライバシー重視の新技術が盛り込まれる。

端末側で機械学習を処理する新機能

こうした一連のプライバシー対策の中で、グーグルにとって最も重要なものが、Android 10で導入される「フェデレーテッドラーニング(連携学習)」という、端末の利用傾向などの機械学習をクラウドにデータ送信することなく端末側で処理する機能だ。最終的にクラウドにもデータは送られるが、それは学習処理の結果であり、データそのものではない。

フェデレーテッドラーニングは利用履歴の機械学習を端末ごとに行い、学習結果をモデル化したデータをクラウドで同期することで連携、学習させる仕組み(筆者撮影)

さまざまなデバイスで学習された結果をクラウドで結合したり、複数の端末で共有することができる一方、機械学習そのものは端末内で閉じる。

機械学習のためにクラウドにデータを送ることに関しては、アップルが「iPhoneで起きたことは、iPhoneの中にとどまる」という広告を打ち、暗にグーグルを批判していた部分だった。

グーグル翻訳、文字入力ツールのGboardなどは、利用者が入力するデータを機械学習することで動作精度を上げている。これまでも「匿名化して利用している」と明言していたが、利用履歴データを端末の外に出さないよう設計変更することで“データ不信”への根本対策とすることが狙いだ。

6月上旬にはアップルも開発者向け会議を開催する。これまで個人情報の扱いで「グーグルとの違い」を示してきたアップルの発表にも、今回のグーグルの発表は影響を与えるかもしれない。

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