タイガー優勝の「マスターズ」熱狂させる舞台裏 マスターズ委員会の筋書きのないドラマ演出
詳細な中身は発表されていないがリドレー会長は「このプロジェクトの成果は、最先端のテレビやデジタル情報など、さまざまなトーナメントサービスを拡大し、いつでもどこでも私たちのファンに質の高いコンテンツを配信するのに役立ちます」と放送の先をにらんでいることがみえる。
帰路宿泊したアトランタのホテルでテレビを見ているとこんな考えがふと浮かんできた。
――「マスターズ・チャンネル」
もちろんアメリカにはゴルフ専門のGOLFチャンネルはあるが、月曜日の夜は、マスターズを中継したCBSもGOLFチャンネルも、昨日のマスターズの興奮は見ることができない。マスターズ委員会は、デジタル時代の今だからこそマスターズの情報を常に提供できるプラットホームを「Global Broadcast Village」で構築しようとしているのではないだろうか。
今年で83回の歴史を重ねたマスターズの数々の名場面、名勝負、歴史を彩った名プレーヤー、SHOT OF THE HISTORYなどの情報を提供することも可能であろう。マスターズ委員会が将来にわたってマスターズの価値を高めるための、情報発信強化の長期的な戦略が見えてきたように感じた。
筋書きのないドラマを演出するマスターズ委員会の戦略
マスターズ本戦会場では、アナログにこだわり、会場内に熱気と興奮を醸成させる。その熱気に選手も乗せられ、スーパープレーが続出する。その熱気をテレビやネットで見た多くの世界のファンは、マスターズを生で見ることを熱望して、さらにマスターズの価値が高まっている。
マスターズのチケットは今年も値上がり続けて、4日間チケットが1万~1万2000ドル(約110万円~)、本戦の1日チケットが2500~2800ドル(約27万円~)と昨年より30%アップしており、現地のチケット屋やインターネットで販売していた。ますます、憧れの舞台となってきている。
これこそ、マスターズ委員会が考えている戦略に沿ってきているのかもしれない。競技ゴルファーにとっても、マスターズでプレーすることは1つの目標であり、さらに優勝を目指すことが究極の目標だとすれば、マスターズの会場に足を踏み入れてパトロンとなりマスターズを観戦し、その舞台の役者となることもますます憧れとなってくる。
これもすべて筋書きのないドラマのゴルフトーナメントを演出する、マスターズ委員会の情報戦略かもしれない。
(文中一部敬称略)
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