夢の祭典「マスターズ」の知られざる経済学 トーナメント運営の舞台裏を検証してみた

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オーガスタの12番ホールのパー3。ここでスピースは痛恨の7をたたいた(筆者撮影)

2016年のマスターズが終わって約1カ月。今年も最終日のドラマは見応えがあった。パトロン(マスターズでは観客のことをこう呼ぶ)の誰もがジョーダン・スピースの2連覇を確信していた。サンデーバックナイン(最終日の後半)が始まるまでは。もちろん、本人も確信していたに違いない。しかし、アーメンコーナーの12番パー3でまさかの池ポチャ2発。7をたたいて優勝を逃した。

オーガスタで繰り広げられる唯一無二の大会

グリーンジャケットを優勝者ダニー・ウィレット(英国)に着せているスピース(2位)の表情が印象的だった。世界200カ国に放映されたこの大会のこのシーンは、見る者の心を揺り動かしたに違いない。

世界に注目されている4大メジャーの中でも、唯一無二の存在がマスターズ。ゴルフ界の球聖と呼ばれたボビー・ジョーンズが自分の夢を実現するためにコースを造り、大会を始めて今年で80回目を迎えた。唯一というのは、メジャーの中でこの大会だけが、オーガスタ・ナショナルゴルフクラブ(ジョージア州)という同じコースで開催されるからだ。

コースの11、12、13番のアーメンコーナーはとりわけ有名なホールで、熱心なゴルフファンであればそのレイアウトが頭に浮かび、難しさを理解している。開催日程も4月第2週と決まっている。鮮やかな春の花々が咲き乱れるコースの美しさは、テレビ視聴者にも十分に伝わってくる。

マスターズは、マスターズ委員会の招待した選手だけが出場できる大会である。もちろん招待選手の条件として、歴代優勝、世界ランキング50位以内等のいくつかのカテゴリーがあるが、招待されないと出場できない。通常のPGAツアー大会とは異なり、選手にとっては特別な「憧れの大会」と位置付けられている。

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