夢の祭典「マスターズ」の知られざる経済学 トーナメント運営の舞台裏を検証してみた
運営面や、収支などおカネの面から見ても、マスターズは特別の大会のはずだ。ただ、マスターズを開催しているマスターズ委員会は伝統的におカネのことは語らない。入場者数、ショップの売り上げ等は一切公表されていない。そこで推定してみることにした(1ドル=110円で算出。なお、執筆にあたっては以下のサイトを参考にしている:masters.com, golfdigest.com, wallethub.com, forbes.com, worldgolf.com, chronicle.augusta.com)。
まず収入面からみていこう。入場者数は木~日曜日の4日間で各日4万人、月曜から水曜までの練習日、水曜には有名なパー3コンテストも行われることもあり各日5万人、計31万人と推定されている。マスターズに入場するためのバッジ価格(入場券のことをマスターズではバッジと呼んでいる)は公表されていないが、大会期間中の4日間通しで正規が325ドル、練習日は65ドルと言われている。この売り上げで2275万ドル。これに、マスターズ委が各スポンサーの招待客用に販売している専用ハウス(食事、バッジ付き)の売り上げが1200万ドルと言われており、合計3475万ドル(約38億円)になる。
4日間チケットは55万円以上で売買
次はチケット価格について。チケットは、毎年購入している人が権利を持っているので、新たに買いたくても難しいのが実情だ。ちなみに、チケットを持っている人が市場に出した時の値段をインターネットで調べると、4日間通しで5000ドル(55万円)以上! 米国で人気を誇るスーパーボールのチケットが800~1900ドルと言われているので、マスターズのチケットはまさにプラチナチケットである。
さらに、マスターズグッズを売っているショップの売り上げも大きい。ロゴ入りグッズや限定商品はここでしか買えない魅力的なものが多く、お土産として多くのパトロンが大量に購入している。大会期間中に入場したパトロン19万人が、お土産として平均250ドルの買い物をすると推定すると4750万ドル(52億2500万円)の売り上げとなる。会場で見ていると、実際には500ドル以上を買っている人も多く見かけたが――。会場内での軽食メニューは、サンドイッチが1.5ドルから、飲み物も1.5ドルからでリーズナブルな設定ではあるが、一人10ドル使うとしても310万ドル(3億4100万円)の売り上げになる。
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