「ネガティブな数字」には妙な説得力がある理由

「成功率99%」より「死亡率1%」が気になる

人は自分が得するより、損することに対して過剰に反応するようです。それを用いた数字的な会話術とは?(写真:kou/PIXTA)

「会話の中に数字を効果的に用いることで、伝わり方は大きく違ってくる」。そう主張するのは、新刊『数字で話せ』を著した経営コンサルタントの斎藤広達氏。しかも、伝える際にある工夫をすることで、さらに効果は倍増するという。

人は「1%の危険」でも強く反応してしまう

「この手術の死亡率は1%です」

「この手術は99%の確率で命に別状ありません」

あなたが患者だったら、どちらの手術を受けたいでしょうか。おそらく、誰もが後者を選ぶでしょう。ただ、おわかりのとおり、どちらも言っていることは同じで、別の表現をしているにすぎません。にもかかわらず、印象はこれだけ違ってくるのです。

これは、経済学や心理学で「プロスペクト理論」と呼ばれるものです。人は、自分が得をすることより、損をすることに過剰に反応する、というもの。つまり、1万円もらえることよりも、1万円を失うことのほうが、心理的に大きなインパクトを与えるのです。これはおそらく、重大なリスクをなるべく回避することで生存してきた、人類の本能的な知恵なのでしょう。

このプロスペクト理論を図にすると、次のようになります。

利得とポジティブな反応のほうは規則的な曲線を描いていますが、損失とネガティブな反応のほうは、損失側に入ってすぐのところでグラフが急下降しています。いわば「プロスペクトの崖」です。

これが何を意味するかと言えば、ほんの少しの損でもネガティブな反応が強く起こる、ということ。「1万円得する」よりも「1万円損する」のほうが、反応が強くなるというのは、まさにそのためです。

次ページ「これだけ損をしますよ」のほうが伝わる?
キャリア・教育の人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 新型コロナ、長期戦の混沌
  • ポストコロナのメガ地経学ーパワー・バランス/世界秩序/文明
  • 岐路に立つ日本の財政
  • CSR企業総覧
トレンドライブラリーAD
人気の動画
レヴォーグ1強に見た和製ワゴンの残念な衰退
レヴォーグ1強に見た和製ワゴンの残念な衰退
ウーバーイーツ配達員の過酷
ウーバーイーツ配達員の過酷
イオン「フジ実質買収」で岡田会長が語った未来図
イオン「フジ実質買収」で岡田会長が語った未来図
ヤマト独走に待った!佐川・日本郵便連合の勝算
ヤマト独走に待った!佐川・日本郵便連合の勝算
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
統合から20年どこでつまずい<br>たのか みずほ 解けない呪縛

みずほ銀行が相次ぐシステム障害で窮地に陥っています。その根底には、3行統合から今に至るまで解決できていない呪縛と宿痾が。本特集ではみずほが抱える問題点をガバナンス面や営業面などから総ざらい。みずほは立ち直ることができるのでしょうか。

東洋経済education×ICT