警察官「無能が出世することはない」独自の掟 彼らの世界に「理由なき昇進」はあり得ない
それは男性に限った話ではありません。女性も同様です。女性警察官の数は増え続けており、現在は2万5000人近くいます。警視庁や各県警では警察官の10パーセントが女性になるように採用枠を拡大していて、管理職における女性比率も増しています。キャリアのうえでの性差はありませんが、女性が被害者になりやすい性犯罪や、子どもや老人に関わる犯罪に対しては、とくに女性警察官の活躍が目立ちます。
私は、多くの優秀な女性の警察官と仕事をしてきましたし、実際に今、女性が統率する捜査チームも増えています。ノンキャリアで警察署長になった女性警察官もいます。私が経験した捜査第一課長も、歴代ずっと男性が務めてきましたが、ここ最近の女性の活躍ぶりを見ると、女性の一課長が誕生する日もそう遠くはないでしょう。
もちろん、上にいくことだけが警察官の魅力ではありません。ずっと現場にとどまり、部下を持たずのびのびとやりたい、という人は、昇任試験を辞退すればいいわけです。その自由もまた認められています。どのようなキャリアを歩むかは、それぞれの「生き方」に委ねられているのです。
警視庁の警察官は地方公務員ですから、基本的には数年ごとに異動を繰り返します。例えば、私は警視庁本部の捜査第一課にいるときに昇任し、所轄の警察署で経験を積みました。また、上の階級になると、さまざまな役職が回ってくることも多く、私は王子警察署の副署長になったあと、半年で本部に戻り、鑑識課の理事官というポストに就いたこともあります。
現場にいる警察官ほど出世しづらい
ちなみに、より早く上にいくのは、総務部や警務部の警察官です。
とくに企画課や人事課には、若くして昇任した警察官が配属されることが多く、基本的にデスクワークで、試験勉強の時間も確保しやすいため、昇任が早いのです。
現場に出て捜査を行う警察官は、仕事の合間をぬって昇任試験に向けた勉強をする必要があります。私の場合は、休日は図書館に行って勉強をし、平日は家に帰っても布団に入らず、玄関先で寝ていました。しばらく横になっていると寒くて目覚めるので、そこから試験勉強を始められるというわけです。業務とは別に勉強するのは大変ですが、そこを突破すれば誰でも昇任することができます。
ただし、いちばん上の階級や役職までいけるかどうかは、30代で決まります。具体的には、32~33歳で警部になっていないと、いちばん上までは行けません。
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