人間中心のデンマーク流イノベーションとは?

格差助長の「シリコンバレーモデル」は限界だ

紺野:アメリカやイスラエルなどの場合、イノベーションというと、どうしても軍事分野のものが大きいと思いますが、一方、北欧の場合は民生的なイノベーション、社会が根底に持っている草の根的な力を活用していることが多く見受けられます。

これからの日本のイノベーションを考えたときに、少子高齢化から自然災害の復旧の遅れまで、この草の根的な力がかなり失われているという感があります。そのあたり、日本はデンマークからどんなところを学べばいいでしょうか。

イノベーションに必要なのは規模感と速度

ベイソン:私の本にも書いていますが、イノベーションはまずはトップからスタートさせるものですが、実際にそれを担うのは現場の人々です。民生的なイノベーションを起こすには、1つの組織内だけで行うのではなく、あらゆるセクター、組織、人を巻き込みながら、もっと分散的に理想を実現していく活動の仕方が重要だと思っています。

デンマークでは地方自治体のレベルでも、「イノファウンダー」というプログラムを始めており、大学卒業後にできるだけ早くスタートアップできるような活動を行っています。資金調達やガバナンスの問題もありますが、このような努力をすることによってイノベーション全体をよりよい方向に持っていくことができる。

私にとって、イノベーションにおけるいちばん大きな挑戦は、スケール、つまり規模感だと考えています。できるだけ社会により大きなスケールで展開していくことが重要です。そのための弾みをつけていきたいですし、そのためのリソースが必要だと考えています。

紺野:まったく同感です。スケール化とその速度が重要です。それには組織の流動性が不可欠です。私は昨年ウィーンで行われたドラッカー・フォーラムに参加したのですが、欧米の企業からは、最近の日本の企業はどうも効率性や生産性には優れているが、モノが土台にあって人間や社会が土台にないのではないかと見られているところがあるようです。

実際、国内では働き方改革の問題や、それとは裏腹にブラック企業が取り沙汰され、日本の企業のファンダメンタルが崩れてきているとの批判もあります。日本企業が今見失っているものは、「人間性を中心にすえる」「社会との接点」だと思っています。本来、そこは日本企業が強かったところだったはずです。こうした点が組織の流動性を阻んでいるのではないでしょうか。

日本企業がいま見失っていることを認識して、イノベーションを起こしていくためには、何をすべきでしょうか。例えば、DDCと一緒にできることはあるでしょうか。

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