5月にも東証上場、動き出す「中国ETF」の実力度 人民元高観測の中で投資チャンス拡大へ
4月22日には上海で、日本と中国の証券業団体が主催して第1回の「日中資本市場フォーラム」が開かれた。上海の高級ホテルに設けられた会場には巨大なスクリーンが設置され、大音量でBGMを流すなど、この会議への中国側の意気込みを示すかのような派手な演出が目立った。
日本からは金融庁の遠藤俊英長官、日本証券業協会会長の鈴木茂晴会長(大和証券グループ本社顧問)ら100人が参加。今後は毎年の相互開催が決まっており、来年は中国から同程度の代表団を日本で迎えることになりそうだ。「これだけ派手にやられると、次回の東京は準備が大変だ」。メンバーからは、早くも来年の運営を心配する声があがっている。
【2019年5月7日10時25分追記】初出時の記事で鈴木茂晴会長の肩書きを「大和証券グループ本社会長」としておりましたが、正しくは「大和証券グループ本社顧問」です。お詫びして修正いたします。
中国の首相として7年ぶりに来日した李克強首相と安倍晋三首相の間で昨年5月、日中首脳会談が行われた。このとき、目玉の一つとなったのが両国間の金融協力で、そのなかで中国が日本に対して2000億元(約3.3兆円)のRQFII(人民元建て適格外国機関投資家)の投資枠を設けることが決まった。中国では資金流出を防ぐために厳しい外貨管理規制をとっているため、越境証券投資のためにはこうした投資枠の設置が必要になる。
中国のETF時価総額は約10兆円
22日のフォーラムでは日本取引所グループの清田瞭CEOと上海証券取引所の蒋鋒総経理が上場投資信託(ETF)の相互上場に向けた覚書に署名した。具体的には日本側からはTOPIX連動ETF、JPX400連動ETFといった商品を上海証券取引所に上場、中国側からは上海総合指数連動ETFなどを東京証券取引所に上場することが想定されている。早ければ5月にも実現する予定だ。
中国市場には3月末時点で199本のETFが上場されており、時価総額は6000億元(約10兆円)。これは中国のGDPの0.6%に過ぎない。上海証券取引所の商品開発責任者である劉逖氏は「アメリカのETFの時価総額は同国GDPの16%に達しており、中国ではまだまだ拡大の余地が大きい。英語由来の『ETF』という名称は個人投資家になじみがないので、『指数株』という名前で普及させることも考えている」と語る。
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