よみうりランドが描く「スーパー遊園地」の夢

老舗遊園地はテーマパークに追いつけるか

よみうりランドは1964年に開園し、50年以上の歴史を持つ。オリエンタルランドが運営する東京ディズニーリゾートやユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)のように、空間全体を演出する「テーマパーク」ではない。

ジェットコースターや観覧車、垂直に昇降する絶叫アトラクション・フリーフォールなど個別のアトラクション体験が売りの典型的な遊園地だ。客層はファミリーや若者である。

高度経済成長期が過ぎた後もループコースターや大観覧車、ゴーカートのロングコースを相次ぎ投入。1988年には当時、世界最速とされた看板ジェットコースター「バンデット」もオープンし、頻繁にアトラクションを入れ替えて右肩上がりの成長を続けてきた。

ただ、バブル崩壊によるレジャー市場の縮小や、娯楽の多様化でアトラクション導入効果が持続するサイクルが短くなり、1990年代以降、年間の入園者数が60万人台に低迷したこともあった。

よみうりランドの杉山美邦社長は、トレンドに敏感になる必要がある遊園地経営の難しさを語った(撮影:今井康一)

そこで近年は、600万球もの電球を用いた大規模なイルミネーションイベント「ジュエルミネーション」を中心に、各種イベントを積極的に展開。見事に再成長を遂げ、入園者数は2016年の193万人まで過去最高を立て続けに更新した。

だが読売新聞の記者出身で、2017年6月に社長に就任した杉山美邦氏は、「入園者数は足踏み状態。この業界は(新施設を開業しても)2~3年も経てば飽きられてしまう」と危機感を募らせる。ここ数年は台風や酷暑といった天候要因もあり、200万人の大台を前に入園者数は伸び悩んでいるからだ。

ディズニー、USJを目指す理由

杉山社長は「われわれは(相撲でいう)幕内だが、社員にはディズニーリゾート、USJという東西の横綱を目指せと言っている」と言う。だが、ディズニーリゾートやUSJに並ぶために「今までの遊園地の枠を超えていかないと発展できない」(同)ことは明白だった。

そこで2018年夏、全社員に対し「企業を飛躍的に成長させるアイデアを出してくださいと『夏休みの宿題』を出した」(同)。面白いアイデアを出した社員には、杉山社長自ら詳しく話を聞いた。

エンタメ植物園やアート水族館も、この時に飛び出したアイデアだという。例えば植物園は全国でシニア層を中心に人気を博しており、高齢化に対応して客層の拡大を狙うコンテンツだ。「全国の植物園を見てきたが、公立が多い。われわれはエンタメ性を加える」(杉山社長)。

遊園地の集客に、エンタメ植物園の年間30万人、アート水族館で130万人が加わることを想定する。現在はこの2つが公表されているが、「(典型的なタイプのコンテンツでは)全くないものもある」(杉山社長)と、同様に遊園地らしからぬ施設を検討している。具体的な方向性はまだ定まっていないようだが、伝統的なアトラクション以外のコンテンツを充実させる「スーパー遊園地」を目指している。

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