東京のマンションがべらぼうに高くなった理由 新築価格は年収の13倍超と他府県を圧倒
実際、筆者の下へ相談に訪れた人が地元の友達に6000万円のマンションを検討していると話したところ「いったい何を考えてるのか?」とビックリされたという。国内でも住宅相場が東京の半分以下という地域も珍しくない。おそらくその友人のほうが正常ということになるのだろう。
では6000万円のマンションを買う人は、ブランド物の洋服で着飾って高級車を乗り回して深く考えずに高いマンションを買うような無計画な人なのか? 実態はその真逆だ。
夫婦で仕事とプライベート(子育て)の両立を考えると、職場寄りで交通の便がよい場所にマンションを買う以外に選択肢がなく、ある意味で「仕方なく」6000万円とか7000万円のマンションを買っている、というのが実態だ。
生活スタイルもとくにぜいたくをしているわけではなく、住宅と子育てにはお金をかけるがそれ以外はごく普通だ。筆者の下に訪れる人は、車を持っている人も1~2割程度と非常に少ない。お金がないのではなく、都心部に住めばとくに必要ないということだ。
オフィスとホテルがマンション価格を押し上げる
東京の不動産価格に影響を与えている要素は、金利、ライフスタイルの変化、そして最後が商業施設とのバッティングだ。
前述のとおり、都心寄りで駅近となれば商業施設とマンションがバッティングする。飲食店やオフィスが入るビルを建てるか、ホテルを建てるか、それともマンションを建てるのか、不動産事業者はより儲かるほうを選ぶ。
法律の規制も関わるが、商業施設への需要の高さもマンションに影響を与えている。2012年の政権交代によるアベノミクス以降、オフィスの賃料は緩やかに上がり続け、空室率は下がり続け、オフィス需要は強い。
訪日外国人旅行者数も2013年に1000万人を初めて突破するとその後も増え続け、2018年には3倍の3000万人を初めて突破した。当然、旅行者向けのホテル需要も強い。
これらの要素がマンション価格にも影響を与える。便利な場所は誰にとっても、どのような用途でも便利であることに変わりはない。そして不動産事業者にとってオフィスビルやホテルと同等以上の収益がなければ、わざわざ居住用のマンションを建てる理由がない。
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