東京のマンションがべらぼうに高くなった理由 新築価格は年収の13倍超と他府県を圧倒

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毎月の返済額を固定したシミュレーションも見てみたい。35年ローンで毎月の返済額を15万円にした場合、金利別の借入れ可能額は、金利が1%なら5313万円も借りられる一方で、4%では3387万円しか借りられない。金利が上がると借入れ可能額が大きく減ることがわかる。

このように、金利のわずかな変化がローンに大きな影響を与え、それが住宅価格に影響を与える。

「近年は不動産価格が上昇傾向にあったため金利は下がったものの不動産価格は上がっている」といった説明をされることもある。しかし正しくは「金利が下がったから不動産価格が上がった」で、シーソーゲームの関係にある。

ただし、これは不動産価格が上がったことの説明であって、東京だけが高いことの説明にはならない。東京の不動産価格が高い理由は人口密度にある。不動産価格は「そこから得られる収益」で決まる。シンプルに言えば「儲かる土地ほど値段が高い」という原則だ。

用途が居住用でも商業用でも、原則として人が多いほど不動産価格は高くなる。居住用ならばオークションの参加者が多いほど価格が上がるように、家の値段も上がる。オフィスや店舗などの商業用でも、お店や企業の得る収益が多いほど高い家賃を払うことが可能になる。つまり客の多い場所ほど賃料が上がる。

したがって最も人口の多い東京が、最も価格が高いのはある意味で当然と言える。

共働きがマンション価格を押し上げる

東京が高いのは当たり前、という説明で終わることも可能だが、より詳しい説明をするのであればライフスタイルの変化が挙げられる。それが女性の就業だ。

家を買うタイミングは、多くの家庭で結婚して子どもが生まれてからだ。結婚後、そして出産後に妻が働くかどうかによって専業主婦世帯と共働き世帯に分けられるが、一昔前と比べてその割合は大きく変わった。

1980年ごろ、専業主婦世帯と共働き世帯の割合はおおむね2:1だったが、現在ではそれが逆転して1:2となっている。新しく結婚する夫婦によってその割合が変えられているので結婚退職、いわゆる寿退社はほとんど見かけなくなったと言っても過言ではない。

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