トランプの「欧州嫌い」はここまで深刻だった

揺れる米欧関係、試される日本の戦略的外交

フランスを訪問した安倍晋三首相とマクロン大統領(写真:ABACA PRESS/時事通信フォト)

統一地方選を終えて、安倍首相がフランスやアメリカなど6カ国を訪問した。6月に予定されている「20カ国・地域(G20) 首脳会議」の成功に向け、主要国首脳との事前調整が主な理由とされているが、この外遊にはもう1つの隠された目的がある。それは深刻な対立に陥っている米欧関係の修復である。

トランプ大統領の登場後、米欧関係の悪化は目に余るものがあるが、その深刻さはとどまるところを知らない。政府関係者によると、4月初めにフランスで開かれたG7外相会合での議論は、「米欧がことごとく対立し、ここまでひどい状態に陥っているのかというレベルだった」という。

米欧は重要な問題でことごとく対立

G7外相会談は、首脳会合の成功に向けて取り上げる議題や各国の主張などをすり合わせる場である。毎年、人権から気候変動、経済、地域紛争など世界が直面している幅広い問題について意見交換し、共同コミュニケを発表する。これまでもG7の間で考え方の違いがなかったわけではないが、真正面から対立することは少なかった。その結果、毎年発表される文書の多くの部分は前年の内容を踏襲してきた。

ところが今年は様変わりだったようだ。まず、アメリカのポンペオ国務長官が欠席し、サリバン国務副長官が代理で出席した。国務長官の欠席は異例のことだが、なぜかアメリカ政府はその理由を明らかしていない。そして、外相会合の場でも、誰もポンペオ氏欠席を話題にしなかった。共同コミュニケ作成に向けた議論になると、アメリカがあれこれ難題を突き付け、殺伐とした雰囲気だったという。

もともとアメリカと欧州は、イラン核合意、アメリカによる鉄鋼・アルミニウムの輸入制限とそれに対するEUの報復関税、イスラエルが占領しているシリアのゴラン高原についてアメリカがイスラエルの主権を認めた問題、あるいは地球温暖化対策の国際枠組みであるパリ協定からのアメリカの離脱など、多くの重要な問題で真っ向から対立している。

それを反映して、外相会合でアメリカは、「パリ協定」や、パレスチナ問題に関連する「国連安保理決議」、さらには「世界貿易機関」(WTO)や「国際法に従って」などという言葉や言い回しをコミュニケに盛り込むことにことごとく反発した。多くがこれまでのコミュニケには何の問題もなく盛り込まれていたものだ。

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