部下の「適性ないから辞める」は上司に原因あり 新入社員の早期離職は彼らだけの責任でない
このようなことが起こる原因として、本人にとってその仕事が本当にミスマッチだった、適性がなかったという場合もあるでしょう。しかし実のところ、「適性はあったにもかかわらず、会社が個々の成長段階に合った仕事を与えることができなかった」ことが原因である場合がほとんどです。
人手不足で即戦力になってほしかったり、部下を成長させたいからといって、それぞれのキャパシティーを超える仕事を不用意に与えることは、人を潰す原因になりかねません。
また、「部下に関心がなく、成熟度を見極められない」「部下の実力や成長を認めない」などの理由から、相手の力に対しあまりに簡単すぎる仕事を与えることも同様です。
このような仕事の与え方は、厚生労働省が定める「職場のパワーハラスメントの6類型」の中にも、「過大な要求」(業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害)、「過小な要求」(業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと)として分類されています。
相手の状況に応じた指導をする方法
これらを予防するためには、状況に応じた指導をすることが大切になってきます。
1977年にポール・ハーシー氏とケネス・ブランチャード氏の2人が提唱した「シチュエーショナル・リーダーシップ理論」(SL理論)に基づくとわかりやすいでしょう。
この理論は、どんな部下でも一律に扱うのではなく、意欲・能力・自立度などを含めた「成熟度」(シチュエーション)に応じてリーダーシップを発揮し、仕事の振り方、任せ方を変える必要がある、と唱えているのです。
SL理論によれば、部下の成熟度は次の4段階に分けることができます。
成熟度2:自分でできるようになった状況
成熟度3:業務に精通している状況
成熟度4:高い成果を出せる専門家として信頼できる状況
これを見ると、部下の成熟度1~4のどの状況でも同じ指導をするというのは違うな、というのはなんとなくわかるはずです。成熟度1の部下にいきなり一大プロジェクトのリーダーを任せるのは荷が重すぎますし、成熟度4の部下に簡単な書類の整理や資料集めなどを任せるのはかなりの役不足、どちらも適材適所とはいえません。
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