「方言を話す人」がなぜか信用されやすいワケ 「口下手」でも、それを生かせば大化けする

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言葉数が多いから「会議に積極的に参加している」と判断するのは大きな間違い。「重要な発言」「一言で流れをガラッと変えるだけの言葉」を言うことのほうが大切。その一言が、人の信頼をつくるのです。

ビジネスでもプライベートでも「信頼」はとても大切な資産です。それを築くためには、寡黙を恐れないこと。言葉の重みを増すことを、最重要な課題として捉えてください。

「言わないこと」を決めておく

また、「言うこと」以上に大切なのが、「言わないこと」です。

コミュニケーションの失敗は、「言いたいことが伝わらない」ことよりも、「言わなくていいことが伝わってしまった」ことから起きるものです。

とくにこの時代は、一度の失言や心ない一言がSNSで拡散され、何度も再生されます。

政治家を見ていても「言わなくてもいい一言」をつい口にしてしまったがために失脚する人が多いですね。

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以前、シニア世代の集まる、巣鴨の「とげぬき地蔵」のご老人を取材したとき、このエリアでは「言ってはいけないこと」があると教えられました。それは、「家のこと」「勤めていた会社のこと」「お金のこと」。教えてくれたおばあちゃんは「以前は、戦時中の話も嫌われたんだけど、今はもう話す人がいない」と笑っていました。

タクシーの運転手さんの間では長く「政治と野球の話をするな」というルールがありました。最近は、野球の話をする人が少なくなってしまいましたが。

また、家族の話、学歴の話、病気の話も難しい。総じてプライベートに関しては、育ってきた環境や価値観が違います。集まる仲間の関係の深さによっても感じ方は違います。ビジネスの場では、「プライベートなことは聞かれるまで言わない」と決めておくほうが得策です。

このように、日々の会議や会食、プライベートな集まりなど、シーンによって、どんな人が集まり、どんな話題を避けたほうがいいのか。想像力を働かせ、事前に「言わないこと」を決め、リストを作っておきましょう。

「言わないこと」がその人の度量となり、信頼感になる。無駄に嫌われない人になるのです。

ひきた よしあき コミュニケーション コンサルタント、大阪芸術大学放送学科客員教授

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Yoshiaki Hikita

早稲田大学法学部卒業。博報堂に入社後、クリエイティブディレクターとして数々のCMを手がける。行政、大手企業などのスピーチライターとしても活動。幅広い業種・世代間のギャップなどを分析し、コミュニケーション能力が高まる方法を伝授する。また、大阪芸術大学、明治大学、慶應MCCなどで教え、「はじめて『わかった!』と心の底から思えた講義」「一生ものの考える力が身につく」と支持を集める。教育WEB「Schoo」では毎回事前予約が約20,000人集まるほどの人気ぶり。著書に『5日間で言葉が「思いつかない」「まとまらない」「伝わらない」がなくなる本』(大和出版)など。

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