「方言を話す人」がなぜか信用されやすいワケ 「口下手」でも、それを生かせば大化けする
「立て板に水」とは言いがたい独特のアクセントや節まわしがあるからこそ、そして彼らに人に訴えかけるだけの「言いたいこと」があったからこそ、人は彼らの言葉に吸い込まれていったのでしょう。
口下手を利用する
私の知り合いの社長さんは、栃木出身の方でした。長く東京で暮らしているのですが、言葉のお尻が上がるイントネーションが抜けることはありませんでした。
酒席でお話を聞くと、若いころはそれが恥ずかしくて口数が少なかった。口下手の典型のようだったそうです。
しかし、それがよかった。普通の人が、「大丈夫だから」とサラッと言うところが、「大丈夫だから」と尻上がりになる。すると、腹の底から「大丈夫」と言っているように聞こえるのです。
一言ひとことの間が大きかったり、「いやぁ〜」と言ったまま無口になる。それが、相手に何か深いことを考えている印象を与えます。
この会社の人とお会いして社長の話になると、みんなが社長の口ぶりを真似します。慕われていることがよくわかりました。
「恥ずかしがりだった私を変えたのは、昔の上司でね。『おまえは得だな、深く考えて発言しているように聞こえる』と言ってくれたんだ」
その社長さんは、私にこう教えてくれました。
以来、コンプレックスが一転。朴訥な語りと尻上がりのイントネーションで堂々と話すうちに、自分なりの語り口ができるようになったそうです。
自分を口下手だと思っているあなたの話し方にも、この社長のような魅力が必ずあるはずです。コンプレックスに感じているところが、逆に「味」や「個性」になります。心を込めて、本気で話せば、「立て板に水」の輩(やから)たちよりも人の心を揺さぶる力を持っているのです。
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