ドコモの新料金「最大4割値下げ」の破壊力 楽天を意識?4000億減収も値下げ断行のわけ

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公共の電波を使って携帯電話事業を営んでいるとはいえ、菅官房長官の「民間への口出し」に対して、KDDIやソフトバンクは直ちに受け入れることなく値下げを渋っている。その中で、ドコモ1社だけ素直に急激な値下げに踏み切る裏には、大株主の意向が効いた面は否定できない。

大手3社が激しく競争する携帯電話市場において、1社が大幅な値下げに踏み切れば、ほかの2社も追随や対抗を検討せざるを得なくなる。政府としては今回、ドコモという業界でいちばん大きな石を動かしたことで、狙い通り通信料金の値下げを進めていると言えそうだ。

通信料依存のビジネスは先行き不透明

もう1つの理由は、業界の先行きだ。携帯電話の「1人2台持ち」需要も遠からず一巡し、スマートフォンの契約数もいずれ天井を迎える。限られたパイを争い、その中で通信料収入に頼って稼ぐビジネスモデルがいつまで続けられるのか不透明だ。

通信料収入は、通信契約者数と通信料金のかけ算で決まる。今回の値下げによって通信料金が大幅に下がることは確実だが、吉澤社長が「顧客基盤の維持や拡大」と言及した通り、ドコモの契約者数にはプラスに働く。通信料収入が頭打ちになっても、決済を含めた金融や映像コンテンツなどの非通信分野は、利用シーンの広がりによって今後ますます商機が広がると見られる。

ドコモは大幅値下げでいったん目先の利益を減らすことになるが、顧客基盤を維持して非通信分野にうまく送客できれば、将来の利益につなげられる可能性はある。菅発言による業界への逆風に端を発しているとはいえ、ドコモは災いを転じて福となすことはできるか。大幅値下げ発表は重い決断だが、それを生かすための今後の戦略がより重要になる。

奥田 貫 東洋経済 記者

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おくだ とおる / Toru Okuda

神奈川県横浜市出身。横浜緑ヶ丘高校、早稲田大学法学部卒業後、朝日新聞社に入り経済部で民間企業や省庁などの取材を担当。2018年1月に東洋経済新報社に入社。

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