ドコモの新料金「最大4割値下げ」の破壊力

楽天を意識?4000億減収も値下げ断行のわけ

新料金プランの導入によって、ドコモの通信料収入は2020年3月期以降、2019年3月期と比べて年間で最大4000億円減少する見通しだという。この減収額は、分離プラン導入によって端末の値引き額がなくなる収入押し上げ分を入れた上でのマイナス幅で、足元の経営に大きな打撃となる。ドコモの計画では2019年3月期の営業利益見通しは9900億円だが、値下げ後、この水準まで利益が回復するには2024年3月期までかかる可能性があるという。

ドコモの吉澤社長は「業界のマーケットリーダーになるため、早めに(値下げを)実行に移した」と強調した(撮影:今井康一)

そこまでして大幅な値下げに踏み切る狙いは何か。吉澤社長は、今年10月に「第四のキャリア」として自前の通信網を使う携帯電話事業に本格参入する楽天を念頭に、「市場環境が変化することを意識して、先んじて競争力を強化する必要があると判断した。この業界のマーケットリーダーになるため、早め早めに(値下げを)実行に移した」と語った。

ただし、競合相手としての楽天の実力は、現段階ではほとんど未知数だ。2015年3月期以降、連続営業増益を続けている企業が楽天を意識して大幅値下げに踏み切ることは考えにくい。会見で多くは語られなかったが、ドコモが値下げに踏み切った理由が他にもいくつかありそうだ。

無視できない政府の意向

1つは政府の意向だ。KDDI、ソフトバンクを含めた3キャリアとも巨額の利益を出す中で、総務相を務めたことのある菅義偉官房長官は昨年8月20日、「携帯料金は今よりも4割程度下げる余地がある」と発言。それ以降、通信業界には政府からの値下げ圧力が強まっている。

吉澤社長は会見で政府の影響を否定したが、政府関係者は「ドコモの値下げは(NTTドコモの親会社の)NTTの澤田純社長が決めた」と証言する。そのNTTの筆頭株主は政府で、財務大臣が35.36%を保有する(2018年12月末時点)。そのNTTはドコモの親会社として、ドコモの株を63.31%所有する(2018年9月末時点)。NTT法の規定により、NTTが事業計画を立てるにも政府の承認が必要で、政府の意向は無視しづらい。そして、ドコモは親会社のNTTの意向を無視できないという事情がある。

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