「相続」親が亡くなる前に知っておきたい超基本 相続問題に詳しい行政書士が徹底解説!
法定相続人は、子→親→兄弟姉妹の順で決まります。そして配偶者がいる場合、配偶者も相続人になります。その人たちが相続人であることを証明する書類が戸籍謄本です。戸籍謄本は本籍を変更したり結婚や離婚をするたびに新しくなります。
被相続人が生まれてから亡くなるまでがひと続きになるよう、戸籍謄本のすべてを各市区町村から取り寄せて確認することで、誰が相続人になるのかが明確になります。
次に相続人の戸籍謄本を取得すれば、被相続人との関係が証明できて相続人が確定します。これらの戸籍謄本は遺産を相続する際には必ず必要となります。
われわれ行政書士がご依頼をお受けするときには、まずは口頭で家族関係を聞きます。その情報を基に戸籍調査を行うのですが、年に数件は聞いていなかった相続人が見つかることがあります。
主人に前妻の子がいたことが発覚!
多いのは被相続人の子です。離婚歴のある人が、前妻との間に子どもがいることを新しい奥さんに伝えていなかったり、過去に認知している子どもがいたりすると、思わぬトラブルになったりします。
相続人の確定をめぐっては、過去にこんなケースがありました。それはご主人を亡くされた奥さんからのご相談でした。このご夫婦には子どもがなく、ご主人のご両親はすでに亡くなられていて、相続人は奥さんとご主人の弟でした。ご主人と弟は結婚前から仲が悪く、奥さんは弟に一度も会ったことがなかったそうです。
ご主人は遺言書を残しておられ、そこには全財産を妻に相続させると書かれていました。弟には遺留分(遺言書があるときに相続人がもらうことのできる最低限の権利)がないため、遺言書どおりに相続ができると思いました。
ところが、戸籍調査をすると、ご主人には離婚歴があり、そこにお子さんがおられることがわかりました。前妻の子とはいえ子どもがいるとわかった時点で、ご主人の弟には相続の権利がなくなります。相続人は後妻と、前妻の子になります。
このケースは争いになる可能性が高いため、弁護士への相談をすすめました。弁護士のアドバイスで、奥さんはこのお子さんにお父さんが亡くなられたことを伝えるお手紙を出されました。