「ポスト安倍に菅官房長官」説が急浮上したわけ

党内で増す「たたき上げ」政治家の存在感

菅氏と二階氏はいずれも政治家秘書、地方議員を経て中央政界の実力者にのし上がったいわゆる「たたき上げ」の政治家。ともに歴史に残る首相を祖父にもつエリート世襲政治家の安倍、麻生両氏とは対照的な苦労人で、波紋を呼ぶ発言を繰り返す二階氏と違い、政権の黒子役に徹する菅氏の態度は、党内でも派閥を超えた信望を集めている。

菅氏は秋田のイチゴ農家出身の70歳。高校卒業後、集団就職で上京し、苦学して法政大学を卒業した後に政治に目覚め、自民党有力議員の秘書や大臣秘書官を経て横浜市議となった。

1996年の衆院選で神奈川2区から初当選して現在8期目だ。初当選後は当時の小渕派に入ったが、政治の師と慕う同派の梶山静六氏(元幹事長、故人)の総裁選出馬に伴い同派を退会、その後、故加藤紘一氏や古賀氏との親しさから宏池会(現岸田派)に所属したが、再び総裁選を機に退会して無派閥となった。若手を中心とした無派閥組を束ねた「菅グループ」は、大派閥に迫る30~40人規模にまで拡大しているとされる。

きっかけは統一地方選での「戦績」

菅後継説が浮上したきっかけは、7日投開票の統一地方選での菅氏の戦績だった。唯一の与野党対決となった北海道知事選は与党推薦の鈴木直道前夕張市長が圧勝したが、地元県連の異論を封じて鈴木氏擁立を主導したのは菅氏だ。対照的に、麻生氏は地元の福岡県知事選で、強引に自民推薦を取り付けた新人候補が現職に惨敗、メンツ丸つぶれとなった。また、二階氏が3度も現地入りして陣頭指揮を執った大阪府知事・市長選も、地域政党「大阪維新の会」の圧勝に終わり、政権3本柱の明暗が際立った。

しかも、菅氏は福岡県知事選では水面下で現職を支援したとされ、大阪ダブル選では大阪維新代表の松井一郎前府知事との太いパイプもあって自民擁立候補の応援を控えたため、麻生、二階両氏を苛立たせた。さらに、麻生派の塚田一郎・前国土交通副大臣の「忖度(そんたく)」発言での辞任や、二階派の桜田義孝・前五輪担当相が10日の「復興より議員」発言で辞任した際も、「事実上の更迭劇を主導したのは菅氏」(官邸筋)とみられている。麻生、二階両氏とのあつれきも目立つ一方、党内での菅氏の存在感は増している。

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