中国のエリートは、靖国など問題にしていない

日中に必要なのは「着眼大局、着手小局」の発想

以前にも「ネトウヨにだまされるな!中国のエリートは、実は日本好きだ」で書いたが、洗脳されている大衆はともかく、中国のインテリたちは、共産主義など表面的なもので、資本主義的合理性を大事にしている。これは常識である。

中国の社会主義市場経済は「政治的には社会主義、経済的には市場経済」という建前で、政治的には一党独裁を堅持しつつ、経済的には市場原理を導入する、という方針である。エリートたちは、これがご都合主義で「いいとこ取り」である事をよくわかっているのだ。

例えば、アメリカやヨーロッパに留学している優秀な学生たちは、祖国に戻る気持ちはない。彼ら彼女たちのような優秀な連中は、理数系の頭脳で経済を考えているから、表面的な政治の建前など気にしているわけではない。

留学生に限らず、中国の優秀な人材は、欧米の民主主義や日本の平等主義にはコストがかかることを熟知している。一方で中国の社会主義制度は一党独裁で効率を優先しており、時には人権を軽んじていることも理解しているのである。今や政治局員の子弟達もハーバード大学やコロンビア大学に在籍しており、考え方や発想すらも米国流になっている。

一般人は、金儲けのほうが圧倒的に大事

中国の中に入ってみると、靖国問題を議論するのは中国共産党とマスコミの世界の話で、一般の中国人たちにとっては、金儲けのほうが圧倒的に重要だ。特に富裕層になると、「衣食足りて礼節を知る」であり「金持ち喧嘩せず」が当たり前になりつつある。確かに一般庶民の生活は貧富の差が広がっているので、ガス抜きが必要なのかもしれないが、今の中国人の裕福なエリートたちにとっては、靖国問題などは、ほとんど興味もないのである。

また、東京裁判でA級戦犯になった人物が合祀されているのが靖国問題の本質の一つだとされているが、実は、この問題に関しては、「すでに変質している」との見方も多いようだ。

つまり、米国は外交政策として、日本と中国の間に溝がある方が良いと考える。一方、中国政府は「日本軍国主義」「日本との危機」をアピールすることで、共産党一党独裁の問題点から目をそらせ、国内問題への不平不満から目を背けるように仕向けられる。さらに、安倍政権も、米軍基地の辺野古移転を早く実施したいこと、さらに特定秘密保護法案の反対勢力を抑えるためにも、「日中間の危機意識」をいわば演出することに意味が出てくる。3か国にとって、靖国問題という「実損のない政治的駆け引き」は、互いに自国の立場を損なわずに、内国向けにアピールできるため、この問題を使っている、という見方が可能だ。

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