「四角いクルマ」は、なぜ日本で大人気なのか 軽ハイトワゴンやミニバンが人気を占める
2018年の乗用車販売動向を見ると、ある特徴が見えてくる。ホンダ・N-BOXをはじめとする軽ハイトワゴンを筆頭に、登録車においても“四角い外観”のクルマの販売が堅調に推移しているのだ。
日本自動車販売協会連合会の乗用車ブランド通称名別順位において、小型車のトヨタ・シエンタが5位、ルーミーが10位、その後も13位にトヨタのタンク、22位にトヨタ・パッソ、24位にスズキ・ソリオ、30位のスズキ・クロスビーといった具合で、四角い外観のクルマが人気を集めている様子がうかがえる。もちろん、そうした上位30位の中に、5ナンバーミニバンが入るし、大型ミニバンのアルファード/ヴェルファイア(15位、25位)も健在だ。
登録車30位までに12台、これに軽自動車のハイトワゴンを加えれば、国内で四角い外観のクルマがかなりの人気を集めているのがわかる。それによって、差別化のため顔つきに強い個性を与える傾向も生まれている。
なぜ、日本でそれほど四角い造形が好まれるのか。理由はいろいろあるだろうが、日本の地理的条件がそのような嗜好を生んでいるのではないかと考える。
日本は大都市で公共交通機関が発達
日本は、欧米に比べ人口の密集が顕著であり、人々は限られた敷地の中で工夫して生活する習慣がある。同じ島国のイギリスと比較しても日本のほうが国土の面積は1.5倍以上広いが、イギリスの半分以上の面積を有するイングランドはほとんどが平地だ。これに対し日本は、約70%が森林であり、平野は限られている。
イギリスの人口は6600万人ほどで、日本の1億2622万人の約半分でしかない。首都のロンドンは東京と同じように人口の密集した都市だが、それ以外で100万人を超える都市は1つ(バーミンガム)だけだ。一方の日本は、東京を含め12もの100万人規模の都市がある。限られた平野にある都市に、いかに多くの人が集中して住んでいるかがわかってくる。
そのことは弊害だけを生むのではなく、日本は各大都市で公共交通機関が発達している。それに対して、大都市の少ない国は公共交通機関の採算が合わず、おのずとクルマでの移動が必要になり、クルマ社会となっているのである。
クルマでの移動が暮らしを支えるとなると、それなりの速さで移動したくなる。例えばイギリスでは郊外の道路の速度制限は時速80km(時速約50マイル)で、市街地は時速50km(時速約30マイル)となり、この速度規制はEU圏内でもほぼ同じだ。しかし日本では、一般公道での速度制限は時速40kmが基本であり、郊外へ出ても変わらない。せいぜい時速60kmが場所によって許されるかどうかだ。
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